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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『お兄ちゃん、ガチャ』頭オカシイ?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第81回

幻想のいびつさを問いただす、野島伸司流『お兄ちゃん、ガチャ』という寓話

gacya.jpg『お兄ちゃん、ガチャ』日本テレビ

「ガチャ、ガチャ、お兄ちゃん ガチャ、ガチャ、お兄ちゃん♪」

 ジャニーズJr.たちがキメキメで歌って踊っている。

「よりどりみどりで迷っちゃう お兄ちゃん、ガチャ~♪」

 頭がおかしくなりそうだ。

 これは、深夜ドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』(日本テレビ系)のエンディングである。主演は『八重の桜』(NHK総合)や『Woman』(日本テレビ系)などの好演で「天才子役」と評される鈴木梨央と、ジャニーズJrの岸優太。

 “理想のお兄ちゃん”をガチャコンで選ぶことができるという設定の「奇抜で、独創的で、ファンタジックで、胸キュン」なドラマだ。設定だけでかなり頭がオカシイ! この倒錯的な世界観を描く脚本は、なんとあの野島伸司である。

 鈴木梨央演じる小学生の雫石ミコは、連載を打ち切られ荒れた生活を送る漫画家の母、「スナフキンになりたい」と家を出てしまった父、怠け者の姉、汚くて乱暴で言うことをきかない弟、そこら中落書きして最後は泣けばいいと思っている妹たち家族に家事全般を押し付けられ、うんざりした日々を送っている。

「優しいお兄ちゃんが欲しい。私には、なんでお兄ちゃんだけがいないのよ!」

 そんな鬱屈した状況を変えるべく、人並みにメルヘンな生活を味わいたいと通い始めたバレエ教室で、「お兄ちゃんガチャ」の存在を知る。

 そこは、とあるゲームセンター。「3階という名の地下1階」に「お兄ちゃん、ガチャ」はある。1回500メダル、貧乏人の雫石ミコにとっては大金だが、それでガチャを回せば、理想のお兄ちゃん候補が出てくるというのだ。「お兄ちゃん」にはA~Dまでのランクがあるが、当然ハズレもある。大半がハズレで、「ワッキー」(ペナルティ・ワッキー)や「タナカ」(アンガールズ・田中卓志)が出てきてしまうのだ。

 ミコがガチャをするか迷っていると、バレエ教室で5人ものお兄ちゃん候補(演じるのはジャニーズJr.の面々)を引き連れていたお金持ちのお嬢様・蛇崩ナツコ(木内舞留)がやってくる。

 お兄ちゃん候補を「キープ」するだけでも、1人1週間1000メダルが必要。しかも、その5人のお兄ちゃん候補は全員Aランク。何十万メダルも注ぎ込んで集めたのだ。ナツコは、あらためて10回引くという。何年かに一度しか出ないといわれているレアな「Sランク」お兄ちゃんを引くためだ。

 そんな姿を見て、ミコは決心する。なけなしの500メダルをガチャに入れ、ガチャのハンドルを回した。

 カプセルの中に詰まった丸い塊を、お風呂で一晩かけてふやかすと「お兄ちゃん」が誕生する。ワッキーやタナカが出ないことを祈って風呂場の扉を開けると、そこには後に「トイ」と名付けられる、不機嫌そうな男(岸優太)が立っていた。

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