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日刊サイゾー トップ > 海外  > 北朝鮮でファッションの自由化?
根なし草ライター・安宿緑の「平壌でムーンウォーク」

厚底靴にハイヒール、ミニスカートまで! 北朝鮮“ファッションの自由化”が加速中!?

1253_1.jpg平壌で見かけた女性。中国のファストファッションのような雰囲気

 北朝鮮はまだまだエボラによる鎖国が続く状況ですが、今回は北朝鮮における、特に女性のファッションの流行についてお話ししたいと思います。


 昨今、北朝鮮の男子大学生は全員、金正恩第一書記と同じ髪形にしなければならないといった報道があるなど、北朝鮮では人民の髪形や服装から、何から何まで当局が口を出すというイメージがあると思いますが、それは事実ではありません。

 確かに過去、美容院に「女性はパーマをあてなければならない」という金正日総書記の「教示集」が置いてあったり、90年代には女性はズボンをはいてはならないなどの決まりがありましたが、昨今では自然発生的に流行が生まれては廃れるのを繰り返しているようです。ここ数年では、中国製品の影響も多く受けているようです。

 ここ数年は「アムラー」のような厚底靴がはやりましたが、昨夏にはすでに消え去り、ハイヒールが主流となっていました。また、膝丈のミニスカートも容認され始めました。ただ、あまりに露出が多かったり、「風紀を乱すような」場合は当局より指導が入り、以後禁止されます。

1259.jpgヘビ皮模様(右)のような思い切ったアイテムも

 やはり流行の発信源には「ファッションリーダー」がいるようで、第一書記の夫人である李雪主氏を筆頭に、モランボン楽団のスター歌手や映画女優、世界大会で好成績を残しているスポーツ選手のファッションを真似しているようです。昨年9月に行われた「年度ファッションショー」では、そのような最先端のテイストが集約されていましたが、高麗航空の中で見かけた女性もこのような感じでした。

 こうした女性たちの目まぐるしいファッションの変遷は、意識の変化と関係しています。北朝鮮の婚姻率は日本に比べると断然高く、女性は基本的に20代前半、遅くとも30歳までには結婚しますが、昨今では晩婚化が進んでおり、「男の世話で苦労させられるくらいなら、独身でいたほうがいい」と娘に助言する母親も増えています。というのも、“国民総共働き”で専業主婦が存在しないにもかかわらず、家事育児のほとんどを女性に課せられる風潮が根強いため、自分と同じ苦労をさせたくないという親心のようです。

「家事育児は、“慈しむ性”である女性が担当すべき」と話す女性幹部もいましたが、本音はツラそうでした。そのような古き女性性からの解放を目指す動きと、ファッションの開放が比例しているのかもしれません。

 ちなみに私も結婚適齢期に差し掛かっているため、訪朝するたびに人民たち(赤の他人含む)から「その年で未婚とはこれいかに」などと無理問答を食らっており、そろそろ発狂しそうなので、次回までには結婚しておかなければと思っています。

●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

最終更新:2015/01/20 14:00
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