女性の6割が「婚前契約書が必要」!? 嫁姑問題で殺人も……韓国の過酷すぎる“夫の実家”事情
#韓国
「浮気をしても怒らない」「離婚しても財産分与はしない」「暴言、暴行は禁止」。結婚を控えた2人が、そんなさまざまな約束事を取り決める“婚前契約”。ハリウッドスターなどの海外セレブの間では浸透して久しいが、日本ではまだまだなじみが薄いだろう。一方、韓国では最近、婚前契約書が必要と考える人が増えている。
1月上旬に韓国のある結婚情報会社が調査したところによると、20~30代の未婚女性(383人)の63.2%が、婚前契約書を「必要」と答えている。その理由は、「互いの人格を尊重するため」という声が最も多かったものの、次点には「平等な財産分与のため」「養育費のため」と、離婚を視野に入れた回答が続いた。
それも当然だろう。韓国の離婚率は1,000人当たり2.3件と、日本の1.9件に比べて非常に高い(総務省統計局「世界の統計2014」参照)。さらに、熟年離婚が年々増加しているという現実もあり、特に女性の場合、50歳以上の離婚件数が10年前に比べて141%にも増加している。
そんな“将来の保障”ともいえる婚前契約だが、すべてが法的に有効かというと、そんなこともない。情治国家などと揶揄される韓国にも、法の縛りは存在する。
例えば、「離婚の際、(妻側が)慰謝料と財産分与請求のすべてを放棄する」と婚前契約を交わした夫婦の離婚訴訟を見てみよう。夫の不倫が原因で離婚することになったこの夫婦だが、夫側は5年前に作成した婚前契約書を裁判所に提出し、「慰謝料と財産分与金は払えない」と主張。お互いが納得して婚前契約を交わしたわけだから、当然といえば当然だ。
しかし、裁判所は夫に「慰謝料1500万ウォン(約150万円)、財産分与金9,800万ウォンの支払い」を命じている。裁判所いわく、「夫婦は自由に財産に関する契約を採択できるが、だからといって婚姻の本質や夫婦平等、社会秩序に反する内容は許されていない」。いかに婚前契約を交わしたとしても、“公序良俗”に反する内容は認められないというわけだ。
そんな事情もあるからか、韓国では女性の結婚意識が年々下がっている。韓国統計庁の調査結果によると、未婚女性で結婚を望んでいる人は、わずか38.7%。女性の結婚離れが加速する原因としては、根強い嫁姑問題を挙げることができるだろう。
というのも、“祝日症候群”に悩まされる妻たちが増えているからだ。韓国では、日本のお盆に当たる秋夕(チュソク)に夫の実家に帰省するのが一般的で、親戚一同が集まり、祭事(チェサ)と呼ばれる儒教式の先祖供養が行われる。妻たちはそこで、チヂミやナムルなどの伝統料理を大量に作る作業に加え、掃除、皿洗いと、数日間にわたって朝から晩まで過酷な家事を強いられる。それが苦痛で仕方がないため、祝日を前後して頭痛やめまい、不眠症、うつになる人が多いというのだ。ストレスから“祝日症候群”に陥った嫁と姑が揉めて、殺人事件まで起こっているというのだから笑えない。
結婚後の複雑な問題を未然に防ごうと、婚前契約を求める韓国の未婚女性たち。婚前契約が密かなブームとなりつつある背景には、気の毒な結婚事情があるようだ。
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