「お手」や「おかわり」をマスターするかも!? 金魚をどんぶりで育てる『どんぶり金魚の楽しみ方』
#本
金魚を飼うというと、大きな水槽にエアーポンプやろ過装置、照明の設置、水草を植えたり……と、なかなか面倒臭いイメージがある。ところが、そんな余計な器具を一切使わず、どんぶりと水で育てよう! という画期的な飼育方法を薦める1冊が『どんぶり金魚の楽しみ方』(池田書店)だ。
著者は、金魚博士の異名を持つ東京海洋大学長・岡本信明氏と、日本インターネット金魚愛好会副会長&日本らんちう協会常任理事を務める、金魚飼育歴40年の川田洋之助氏。その出会いは、東京海洋大学で開催された、普通の飼い主が形にとらわれない自慢の金魚を持ち寄る品評会「素人金魚名人戦」なるもので、川田氏は岡本氏が出陳した小さな金魚の“シロちゃん”に衝撃を受ける。涼しげで、ろくに水も入らないガラスの器の中で泳ぎ、近づくと、シロちゃんが遊んで遊んで~と顔をもたげ、愛嬌たっぷりで、会場のお客さんもメロメロだったという。
金魚に愛嬌!? と驚かされるのだが、その理由はどんぶりで飼うので、水槽のように隔てるものがなく、エサをあげる時の距離が近いから。エサのやり方次第で「早く! 早く! ゴハンちょうだ~い」と、手渡しができちゃうほどなつかせることも可能だというのだ。これに、川田氏は器と金魚の新たなコラボの可能性を確信し、有田焼の器と自作の抹茶椀、生け花の水盆などで、数年間金魚を飼うなど、岡本氏と2人で研究を重ね、この本が誕生した。
大きなルールとしては、毎日水換えをする、エサは1粒ずつ、ひとつの器に一尾だけなど本当に簡単だが、さまざまな金魚がいるし、長生きさせるにはコツがたくさん。本書では、どんぶり飼育に向く“金魚”や器の選び方、どんぶりに入れる前に金魚にしてあげると長生きすること、仲良くなるエサのやり方、金魚の眺め方、世話の基本、病気と治療法などが、かなりわかりやすく写真付きで説明され、どれも難しいルールはないので、これならやってみようかなという気になる。室町時代に中国から渡ってきて、大名や豪族の楽しみとして飼育され、後に江戸時代に庶民へと広がった、金魚。浮世絵にも登場するほど美しいその姿は、まさに生きる芸術品。自分好みのどんぶりで、金魚を眺めて癒やされちゃおう。
(文=上浦未来)
●おかもと・のぶあき
1951年愛知県生まれ。東京海洋大学長。東京海洋大学海洋生物資源学科教授。研究分野は魚類病態生理学・魚類遺伝生理学。主に魚を病気から守るための研究を行っている。金魚博士の異名を持ち、国際誌「アクアカルチャー」などの編集委員ほか、素人金魚名人戦に参加するなど、金魚の普及に努めている。監修書に『育てて、しらべる日本の生きものずかん14金魚』(集英社)、共同監修書に『金魚 長く、楽しく飼うための本』『原色金魚図鑑 かわいい金魚のあたらしい見方と提案』『金魚のことば 君のきもちと飼い方がわかる82の質問』(すべて池田書店)がある。
●かわだ・ようのすけ
1952年東京都生まれ。金魚銀座 座主(CEO)、素人金魚名人戦代表、日本インターネット金魚愛好会副会長、(社)日本らんちう協会常任理事、土佐金保存会副会長。金魚飼育歴40年。長年の飼育のノウハウを生きるかし、著書に『カラーガイド金魚のすべて』『らんちうのすべて』『四大地金魚のすべて』(すべてエムピージェー)、共同監修書に『金魚 長く、楽しく飼うための本』『原色金魚図鑑 かわいい金魚のあたらしい見方と提案』『金魚のことば 君のきもちと飼い方がわかる82の質問』(すべて池田書店)がある。
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