「日本に行きたい」中国人殺到で、在留邦人に“帰国難民”が大量発生中
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2月18日から24日までの7連休となる今年の中国の春節(旧正月)休み。毎年春節休みには、中国進出する日系企業の多くも休みとなり、日本へ一時帰国する在留邦人も多いが、上海市にある日系メーカーの男性駐在員は、こう肩を落とす。
「毎年春節には千葉の実家に帰っていたんですが、今年はあきらめました。日本行きの航空券が高すぎて、とても手が出ないんです」
1月10日現在、格安航空券検索サイトの「DeNAトラベル」で、春節休みの初日に出発し、最終日に帰着する旅程で上海~成田往復の直行便を探してみたところ、デルタ航空の17万4,020円が最安となっている。ちなみにちょうど1カ月後の3月18日出発24日帰着の同路線直行便の最安値は、同じデルタ航空で5万4,430円となっており、実に3倍以上の開きがあるのだ。
「もともとうちの会社では、年に一度、家族全員分の帰国用航空券が支給されていたが、経費削減で4年前に削られてからも、毎年春節に自費で帰国していた。春節休み前後は、日本だけでなく各地への航空券の価格が上がるものだが、それでも今までは普段の倍もしないくらいだった。でも今年の値上がり具合は異常で、春節休みの帰国を諦めたという日本人はほかにも何人もいる。特にうちは妻と娘の3人暮らしなので、一家で帰国すれば50万円を超えてしまう計算になる」(同)
それもそのはず。米国旅行専門サイト・トラベルズーが4,300人を対象に行った調査によると、2015年の中国人観光客に最も人気のある海外旅行先は日本であり、全体の4割近くが日本を第1希望の旅行先として挙げている。ちなみに昨年、日本を第1希望の旅行先として挙げたのは全体の3割弱だった。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、昨年2月には、前年度比で71%増の13万8,400人の中国人観光客が日本を訪れているが、今年の2月にはそれをさらに上回るものとみられている。
日本に外国人観光客が増えることは、景気刺激策としても有効だが、在留邦人が“帰国難民”になってしまうとは、なんとも気の毒な話である。
(文=牧野源)
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