「怖いもの見たさ」を刺激する、TBS『クレイジージャーニー』の“煽りすぎない”衝撃映像
#テレビ #TBS #バラエティ #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
そこで、一軒の家に入っていく。天井が低く、床も壁も頼りない家。3畳のスペースに、9人もの人が住んでいるという。そんなスラムの家屋事情を住民に取材中、突如、カメラが大きく揺れた。何事かと振り返ったカメラが、家の外に立つ若者の姿を捉えた。その若者は、撮影していた番組スタッフのお尻のポケットから携帯電話を盗もうとしたのだ。若者は悪びれた様子もなく、少し照れくさそうに笑う。その笑顔が妙にリアルだった。
ゴンザレスはなおも「全然スラムの闇の部分に触れられてないんですよ。その辺を調べてみたいなと思いまして。犯罪とか、違法性のあるそういう仕事をしてる人を調べてみたい」と、臓器売買をしたことがあるという男にたどり着く。入院費が払えず、腎臓を売ったというその男は、なんとそれを医者に薦められたというのだ。
さらに、銃密造現場にも潜入。ただし、あまりに危険なため、番組スタッフとは別れ、ゴンザレスは一人ガンマニアを装い、裏社会に精通しているという現地人15人を経由し、銃密造現場の案内人と合流。小池が思わず「現実とは思えない」とつぶやく、衝撃的な映像を撮影することに成功したのだ。
番組ではさらに神秘の光る山を激写する『奇界遺産』(エクスナレッジ)の佐藤健寿、かつて『情熱大陸』(TBS系)などでも大きな話題を呼んだ自然と戦うサバイバル男・服部文祥、北朝鮮の内部映像を発信する石丸次郎が、ゴンザレスに負けず劣らずのエピソードや映像を紹介していく。
この手の番組は、とかくえげつなさが強調されがちだ。だが、この番組はセンセーショナルな煽りもなく、丁寧な編集と絶妙な距離感を保っているため、見ていてストレスも不快感もほとんどない。“モニタリングの天才”設楽や、生きた虫を食べることも厭わない行動力を持った小池、そして冴えわたるコメント力で重苦しさを吹き飛ばす松本という、3人のバランスが抜群なのもその要因だろう。クレイジーなものを真っ当な演出で見せる。それが、たとえ「こんなの見たくない」と思っていても、心の奥の「怖いもの見たさ」という欲望を刺激し、画面に釘付けにさせるのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事