このいじめがスゴい! 『聲の形』だけじゃない、壮絶「いじめマンガ」の世界
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
毎年、年末に宝島社から発売されるムック本「このマンガがすごい!」。ここで1位にランキングされるマンガは事実上、マンガ読みたちにその年最も面白いと評価されているマンガだといえます。
昨年末に発売された「このマンガがすごい!2015」では、オトコ編第1位が『聲(こえ)の形』、オンナ編第1位が『ちーちゃんはちょっと足りない』でした。
『聲の形』は、作品序盤の先天性聴覚障害を持つ女の子、西宮硝子をめぐる壮絶ないじめシーンがかなりインパクトのある作品です。主人公の石田将也やクラスメイトが、硝子が耳につけている補聴器を引きちぎったり、硝子がコミュニケーションを取るために持っている筆談ノートを池に投げ捨てたり……そして、池に沈んだノートをびしょ濡れになって探す硝子のかわいそうな姿。もちろんいじめのシーンだけではなく、その後の硝子と将也の意外な展開や感動的なラストシーンが評価されている作品でもあります。
ところで、衝撃的ないじめのシーンが掲載されているマンガは過去にもいくつか存在しています。今回はそんな「いじめマンガ」をご紹介しましょう。
■『元気やでっ』(土屋守、次原隆二、山本純二/集英社)
この作品は、1995年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で掲載された、いじめをテーマとしたマンガです。当時「いじめ」が社会問題になっていたこと、実体験を元に描かれたリアルな内容だったこと、そして何よりも「ジャンプ」というメジャー誌に掲載されたことで多くの少年少女が目にすることになり、“伝説のいじめマンガ”と呼ばれるようになったのです。
舞台は中学校。おとなしそう、逆らわなさそうという理由でクラスメイトの女子グループにパシリにされていた少女、佐伯幸子(さっちん)。そんなさっちんが次第にパシリからいじめに遭うようになり、どんどんエスカレートしていくというもの。パシリといじめって、紙一重ですよね。非常によくありそうな構図です。
お茶にふりかけを入れられたり、上履きを水の入ったバケツに投げ込まれたり、生徒手帳は盗まれていたずら書きをされ、黒板には教師とホテルに行ったなどとあることないこと書かれ、学校を休んだら机の上に花瓶が置かれ……と、まさに王道いじめが炸裂します。
この作品は『わたしのいじめられ日記』(青弓社)という、実際の中学生のいじめの記録を元に描かれたマンガであり、内容の生々しさ、リアルさが読者の胸を締めつけます。生徒のいじめもさることながら、事なかれ主義でいじめを見て見ぬふりをする先生の態度も、いじめ問題の根深さを象徴しています。
作中に出てくる担任・上沼先生が、いじめられているさっちんに冷たく繰り出す「いじめフェイス」は、まさにいじめ界のクイーンといっても過言ではなく、顔面から漂うネガティブさがハンパじゃありません。一見の価値ありです。
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