事件の裏に暗躍する半グレ、暴力団、中国マフィア……「餃子の王将社長殺人事件」は“企業テロ”だったのか
#本 #凶悪犯罪の真相
2013年12月19日、京都市山科区で一人の男が殺された。大東隆行、「餃子の王将」として知られる王将フードサービスの4代目社長だ。その死因は、4発の銃弾による失血死と判明している。事件から1年を経て、いまだに解決のめどがつかないこの事件をノンフィクション作家・一橋文哉氏が取材し、『餃子の王将社長射殺事件』(角川書店)として上梓。すると、そこには、ただの殺人事件にはとどまらない疑惑が数々に満ちていた……。
大東氏は、餃子の王将の創業者、加藤朝雄氏の義弟として、創業当初から会社経営の中枢に関わってきた人物だ。「大番頭」として勤務すること31年、00年4月に王将の社長に就任。しかし、当時は今とは比較にならないほど、王将のありさまはひどいものだった……。384億円の売上高に対して、有利子負債は470億円。3代目社長であり創業者の息子・潔氏による不動産投資などへの過剰融資が原因だった。誰もが、その社長就任を「貧乏くじ」「敗戦処理」として見ていたが、不良債権の処理や、不採算店舗の閉鎖といった改革を断行し、「王将の原点に戻る」と決意。2年後には、黒字化に成功し、デフレ景気も追い風となって、例年2ケタ成長を記録するV字回復を果たしたのだった。しかし、創業時の苦労を知る大東氏は、社長に就任してもなお、自ら朝一番に会社に赴き、正面玄関の掃除や水まき、トイレ掃除までを率先して行っていた。
大東氏が命を奪われたのは、この早朝出勤の時だった。
朝5時45分、会社に到着し、車から降りたところを大東氏は狙われた。右胸に2発、左脇腹に2発の銃弾が命中。車の中や背広のポケットなどに入っていた現金百数十万円には手が付けられていなかったことから、強盗を目的とした殺人ではないと推測される。しかし、早朝の時間、小雨模様だった天候などから、目撃情報や遺留品は乏しく、また、サイレンサーが付けられていたのか、発砲音を聞いたという住民もいない。
取材を進めながら、一橋氏は、大東氏個人のみならず、「王将フードサービス」という企業を狙ったテロである可能性をつかむ。そして、その実行犯の最有力候補として、中国人ヒットマン「抱きつきのリン」の名前を得るまでになった。
ではなぜ、王将はこのような企業テロに巻き込まれ、「中興の祖」とまでいわれた社長を失わねばならなかったのだろうか?
王将側は、事件直後の記者会見において「思い当たるトラブルは何もない」との声明を発表した。しかし、それは、真っ赤な嘘だったと言わざるを得ない。一橋氏が取材すると、そこにはさまざまな問題が浮かび上がってきたのだ……。
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