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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 『真夜中の五分前』小説映像化の真価

行定勲監督が“原作モノ”映像化の真価を見せる『真夜中の五分前』

eigacom1226.jpg(C) 2014 “Five Minutes to Tomorrow” Film Partners

 今回取り上げる最新映画は、コミックと小説、それぞれ人気の高い原作を見事に映像化した邦画2作品。原作との比較はもちろん、キャスティングの妙、脚色の技など見どころいっぱいの話題作だ(いずれも12月27日公開)。

 『海月姫』は、「Kiss」(講談社)に不定期連載中の東村アキコの人気コミックを、『ホットロード』(2014年)の能年玲奈主演で実写映画化した娯楽作。クラゲを偏愛するオタク女子の月海(能年)はイラストレーターを志すも、部屋にこもってクラゲの絵ばかり描いている。彼女が住むボロアパート「天水館」には、鉄道や三国志など各自のオタク道を追求し、恋愛ともオシャレとも無縁の女子5人がゆるい共同生活を楽しんでいた。月海はある日ペットショップで華麗な美女に助けられるが、その正体は女装趣味のある蔵之介(菅田将暉)。蔵之介が天水館に出入りするようになり、月海の生活も少しずつ変化するが、そんな折、天水館が再開発による取り壊しの危機に直面する。


 『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』(10年)や『映画 ひみつのアッコちゃん』(12年)でコミック映画化に実績のある川村泰祐監督が、本作でも天然ぶりが魅力のヒロインと、笑いとドタバタと感動に満ちた作品世界を巧みに映像化した。能年玲奈は三つ編みにメガネ、スウェットにジャージというオタク姿で主人公を熱演。蔵之介のサポートでシンデレラのように美しく変身し、人生初デートに臨む中盤の展開も盛り上がる。オタク仲間の池脇千鶴、篠原ともえ、太田莉菜ら共演陣も、顔が半分隠れる前髪や、スッピンにメガネで「え、誰?」状態だが、イケてない“腐女子”を楽しんで演じている様子が伝わってくる。

 『真夜中の五分前』は、本多孝好のベストセラー小説を、行定勲監督、三浦春馬主演で映画化した恋愛ミステリー。上海の時計店で修理工として働く良(三浦)は、プールで知りあったばかりの美女ルオランから、双子の妹ルーメイへのプレゼントを選んでほしいと頼まれる。瓜二つの姉妹、妹の婚約者と4人で会った良は、ルオランの秘密を知るが、互いの過去を告白した2人は少しずつ距離を縮めていく。しかし、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭ってしまう。

 原作は日本が舞台で登場人物もみな日本人だが、中国との共同製作により設定と筋書きが大幅に改変された。中国人女優リウ・シーシーが1人2役で、謎めいた双子のヒロインを好演。主人公と中国語で交わされるロマンティックな会話が、上海の夜景など光と影を美しくとらえた映像と相まって、詩的なムードを醸し出す。評価の高い原作小説『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』もできれば手に取り、相違点やそれぞれの魅力を確かめていただきたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『海月姫』作品情報
<http://eiga.com/movie/80291/>

『真夜中の五分前』作品情報
<http://eiga.com/movie/79592/>

最終更新:2014/12/26 23:00
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