アナルの国からやってきた『バッド・マイロ!』カルト映画を過激&ポップに換骨奪胎しちゃった!
#映画 #パンドラ映画館
物語の後半、ダンカンはそれまでずっと避けてきた忌わしい存在と向き合う。その忌わしい存在とは、音信不通状態だった父ロジャーである。ロジャーは人里離れた山奥で、ドラッグを吸いながら気ままな独居生活を送っていた。なぜ、彼は幼い息子と母を家に残して奔放したのか? やっぱり、自己チューなサイテー野郎なのか? 子どもの頃、なるべく考えないようにしていた問題だった。でも、もうすぐ父親になるダンカンは、当時のロジャーが抱えていた悩みを理解できる年齢に達していた。ストレスの大元凶である父親と対峙するダンカン。果たしてダンカンはストレスをコントロールして、凶暴なマイロを手なずけることができるのだろうか。
明るい希望が持ちづらい現代社会において、どうすれば本当の意味での大人になれ、新しい家族を構えることができるのか。そして、どうすれば家族を幸せにすることができるのか。真剣に考えれば考えるほど、お腹が痛くなってくる難問だ。でも、そんなときこそマイロの出番である。激しいアナル痛と臭いを伴って、マイロはマイロなりのやり方でダンカンが父親になることへの覚悟を促す。マイロは“怒りのメタファー”ではなかった。ダンカンたちに家族の結びつきを気づかせる“幸運のメタファー”だったのだ。
(文=長野辰次)
『バッド・マイロ!』
監督・脚本/ジェイコブ・ヴォーン 出演/ケン・マリーノ、ジリアン・ジェイコブス、ピーター・ストーメア、パトリック・ウォーバートン
配給/カルチュア・パブリッシャーズ、武蔵野エンタテイメント R15 12月20日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開中
(c)REDESTINED,LLC ALL RIGHT RESERVED
https://www.facebook.com/badmilo.jp
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事