“死刑大国”中国で相次ぐ冤罪事件 ずさんな司法制度に、外国人も明日は我が身!?
#中国
中国内モンゴルで1996年4月9日に強姦と殺人の容疑で逮捕された、当時18歳の少年フグジレトさんは、無罪を訴えながらも逮捕からわずか61日後に死刑が執行された。その後、2005年に別の強姦殺人事件で逮捕された男が同事件について自供をしてから「フグジレトさんは無罪だったのではないか」と、社会が注目していた。
今年11月20日、内モンゴル最高裁判所がフグジレトさんの嫌疑について再審する内容の通知を発表。12月15日に無罪判決を言い渡された。判決後、裁判所は国家賠償を決め、当時の担当者たちの責任問題として追及していくことを発表した。
もはやフグジレトさんの命は返ってこないが、中国では最終審の判決が覆されることは異例とあって、中国版Twitterの「微博」では、「正義はやってきた、しかし遅すぎた…」「当時の担当者の責任をどのように追及するのか見届けるまで、事件は終わらない」「中国には、過去にも冤罪で死刑になってしまった人が、もっといるのではないか」などと大きな話題となっている。
三権不分立の中国では、冤罪死刑事件は枚挙にいとまがないが、判決が覆ったのは「趙作海事件」くらいである。この事件は、97年に湖南省の小さな村で男性が突然、行方不明になったことから始まった。この男性の親戚でもある趙作海さんが、直前に男性と殴り合いのケンカをしていたため、警察から殺人罪の重要参考人として連行、逮捕。02年に、殺人罪で死刑判決が下された。
しかし、10年に、すでに殺害されていたと思われていた男性が突然、村に帰ってきたのだ。男性の供述によると、ケンカの報復を恐れて村を離れていたという。被害者が存在しないことが明らかになったため、趙さんには無罪判決が下り、釈放された。8年間も死の淵をさまよった趙さんに賠償金として支払われたのは、わずか1,300万円ほどであった。
世界全体の6割以上を占める、1,000件以上の死刑が毎年執行される中国。近年では、日本人をはじめとする多くの外国人が死刑囚となり、実際に刑の執行も行われている。中国のずさんな捜査や刑事裁判は、我々にとっても対岸の火事ではない。
(文=牧野源)
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