各国でインド映画興収第1位を記録! 奇想天外なアクション娯楽大作『チェイス!』
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今週取り上げる最新映画は、人気アイドルグループのメンバー3人が斬新なフォーマットに挑む少々ひねった青春ムービーと、インド発ながらハリウッド超大作に負けないアクションシーンが売りの痛快娯楽作。どちらもコアなマニアだけでなく、一般の映画ファンも楽しめる魅力を備えたオススメの2本だ。
『超能力研究部の3人』(12月6日公開)は、『マイ・バック・ページ』(11年)の山下敦弘監督が、映画初主演となる乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未を迎えてユニークな構成で作り上げたアイドルムービー。北石器山高校の超能力研究部に所属し、日々超能力の訓練にいそしむ良子、育子、あずみは、楽々とスプーンを曲げていた同級生の森を強引に入部させる。「自分は宇宙人」と告白した森を故郷の星に帰してあげたいと考えた3人は、UFOを呼び寄せようと奮闘する。
乃木坂46のシングル「君の名は希望」のPVも手がけた山下監督が、同ビデオ内で行われたオーディションで選出した3人を起用。大橋裕之の連作短編漫画『シティライツ』を原作とする学園青春ドラマのパートと、彼女たちが山下監督から演出を受けたりオフの時間を過ごす様子などを収めたメイキング風のパートで構成した。後者はドキュメンタリータッチで描かれ、アイドルから女優へと成長する3人の生の姿が映し出されるのかと思いきや、彼女たちのマネジャーが過剰に干渉するあたりから雲行きが怪しくなり……。フェイクとリアルがあいまいに溶け合うメイキングパートと、ほのぼのとした高校生の日常に過激な言動も飛び出すドラマパートの相互作用もあり、アイドル=偶像の「虚」と「実」にまで迫る稀有な作品に仕上がった。
『チェイス!』(12月5日公開)は、本国インドをはじめ、各国でインド映画興収第1位を記録したアクション娯楽大作。米国シカゴでサーカス団を率いるマジシャンのサーヒル(アーミル・カーン)は、マジックとダンス、バイクの曲乗りを融合させたショーで人気を集めている。だが、彼は裏で金庫破りを繰り返し、かつて父を破滅させた銀行へ復讐する計画を進めていた。そんなサーヒルを追い、インドから敏腕刑事ジャイ(アビシェーク・バッチャン)が渡米。サーヒルの人生をかけた壮大なトリックと、ジャイの執念が激突する。
インド映画史上最大規模の製作費をかけ、シカゴでもチェイスシーンを含む大がかりなロケ撮影を敢行。高層ビルの壁面を垂直に駆け下りたり、バイクで張られたワイヤーの上を逃走したりと、奇想天外で刺激的なアクションが満載だ。クリストファー・ノーラン監督の『プレステージ』(06年)に似た、マジシャンの復讐をモチーフにしたストーリーも興味深く、インドの国民的女優カトリーナ・カイフを交えたダンスシーンの楽しさもボリウッド映画ならでは。ハリウッド映画に負けない、豪華で痛快なエンタテインメント大作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『超能力研究部の3人』作品情報
<http://eiga.com/movie/80953/>
『チェイス!』作品情報
<http://eiga.com/movie/79710/>
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