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ゾンビアイドル小明のホラー映画レビュー!【第3回】

やっぱり人間がいちばん怖い……!! 韓国ホラー『ブラインド』がヤバすぎた

akarizonbie_3.jpg↑これは映画のシーンではなく、ゾンビアイドル小明です
(撮影=尾藤能暢)

 孤児院育ちで警察大学実習生のスア(キム・ハヌル)は、実習中に手錠を使い、深夜のクラブに入り浸る弟のようにかわいがっていた青年を強引に施設に連れ戻そうとするが、その道中で事故に遭い彼を死なせ、自らも視力を失ってしまう。盲人となったスアは盲導犬のスルギと共に、なんとか日常生活をこなすも、警察大学への復学は断られ、生活は試練の連続だった。

 そんな中、スアは偶然乗ったタクシーで再び事故に遭う。若い女性を轢いた運転手は「犬を轢いただけ」と言ってトランクに女性を詰め込むが、音に対して人一倍敏感になっているスアにとって、それが犬を轢いた音ではないことは明白だった。

 警察に駆け込み、チョ刑事(チョ・ヒボン)に事態を伝えるも、「盲人の目撃者なんて」と相手にされない。しかし、スアの「座席のシートが皮だったから模範タクシー」「病院の匂いがしたから前に乗ったのは医療関係者」という鋭い洞察力と記憶力で、犯人像はどんどん浮き彫りに。そして数日後、偶然その事故を目撃した不良少年のギソプ(ユ・スンホ)が現れ、「タクシーじゃなく外車だった」と証言をする。

 食い違う2人の証言を照らし合わせ、捜査班は順調に真犯人に近づいていくが、真犯人もまた、2人の目撃者に近づいているのだった……。

blindstill.jpg(c)MoonWatcher & Next Entertainment World inc.All Rights Reserved.

 盲人である主人公のスアは、前半では外に出れば「盲人は外に出るな!」と罵られ、タクシーは延々割り込まれていつまでたっても乗れず、完全に社会的弱者として描かれているんですが、二度目の事故に遭ってからは、視力を失って敏感になった聴覚・嗅覚・触覚を駆使することによって警察と対等な関係になり、後半では“あるトリック”を使って完全に犯人との立場を逆転させて強者となっていくさまが非常に爽快でした! そしてそれと同じくらい不快なシーンもてんこもり!

「あ、生理的にこの映像を見続けることができない」と思わせるリアルな暴力描写が魅力の韓国ホラーですが、『ブラインド』もなかなかでした……。特に盲導犬のスルギのシーンは総じてすごかったです。スルギがもう上手くて上手くて、ラブラドール・レトリバーの持つかわいいポイントをフルに出してくるんですよ! 大型犬を飼っている人間からしたら、もう辛抱たまらん!! そして、こういう、物語の救いになるような正義の脇役っていうのは、なぜかしら始めから残念なフラグが立ちまくっていて、そのフラグは目を覆うような演出で「これでもか」と回収されていくんですよね……。もう、涙で画面が見えなかったよ……!

 そして生理的に一番「ウヘェー」となったのが、犯人の異常性欲のおぞましさ! 普段は温厚を装ってるのに、警察に追われていようと、体が半分燃えようと、まだ真顔で股間のチャック開けて女をレイプしようとするんですよ……。思考回路が理解不能すぎて戦慄します。韓国映画はこういうサイコパスを撮るのが本当にうまいですよね。

 大森キネカでの『ホラー秘宝まつり』のホラー総選挙では、数あるホラー映画を差し置いて一位を獲得した『ブラインド』。地球に子作りに来るエイリアンよりも、地球滅亡を狙って復活してくる悪魔よりも、やっぱり身近に潜んでる話の通じない人間が一番恐いということでしょうか……。確かに、エイリアンだって悪魔だって、一応理由があって行動しているのに、人間は温厚な顔の裏で、何を考えているかわからないですもんね。連載やレギュラー番組は笑顔で切られるし、ギャランティや原稿料は踏み倒されるし、「一生応援します!」とか言ってたファンは平気で他のアイドルに乗り換えまくるし……考えれば考えるほど死にたくなるから、私はゾンビになったのかもしれません……。ちょっと話がそれましたが、結論としては、人間って最低!! 犬こそ至高!!!
(文=小明)

●『ブラインド』
http://kingmovies.jp/library/kixf-229
12/10(水)Blu-rayDVD発売
発売・販売元:キングレコード
Blu-ray:¥4,800+税/DVD:¥3,800+税

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●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ、千葉県育ち。02年、ホットドッグプレスドリームガールズ準グランプリを受賞し、デビュー。写真集『エプロン宣言』を発表するなど、グラビアアイドルとして活動していたが、06年に所属事務所を退社。以降、フリーのアイドル兼コラムニストとして活動しつつ、ゾンビアイドルとしてテレビ・映画に出演中。著書に『アイドル墜落日記』(洋泉社)、共著に『卑屈の国の格言録』(サイゾー)。ネットテレビ『小明の副作用』(サイゾーテレビ)出演中。

最終更新:2016/02/05 01:02
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