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週刊誌スクープ大賞

高倉健が元・名物編集長に漏らした本音?「俳優をやるのはカネのため、一生の仕事ではない」

 私は現役の編集時代に「出世するお中元 出世するお歳暮」という企画を考え、部員にやってもらったことがある。しかし、頭でこね回した企画だったから、できあがった原稿は面白くもなんともなかった。

 しかし、この企画そのものは今でも大変気に入っている。現代の「出世するセックス」というタイトルで、そのことを思い出した。さて、その出来栄えはどうか?

 現代によれば、セックスのうまさと仕事の能力は驚くほど比例していると、女性たちは口をそろえるそうだ。どちらも「感情を持つ人間」を相手にする営みであるために、その場面その場面でさまざまな能力が必要とされるというのだ。

 出世する人は相手の女性の気持ちだけでなく、一緒に過ごす時間を最初から最後まで、総合的にマネジメントできなければいけないそうである。経営コンサルタントで心理コーディネーターでもある織田隼人氏がこう語っている。

「男性は女性を『コントロール』したがりますが、コントロールとマネジメントは以て非なるものです。コントロールは工場生産の場面では有効ですが、知的生産の分野ではうまくいきません。知的生産である経営も男女関係も、部下や女性の気持ちを汲み取るマネジメントが必要です。具体的には、男性と女性では見えている世界が全然違うことを意識して相手を思いやること、嫌がらない範囲でやや強引に振る舞うこと、褒めながらモチベーションを上げること、これらすべてです。経営学者のピーター・ドラッカーは、『知的労働者は、自らの意思で参加するボランティアとして扱え』と言いました。これは女性に対しても同じで、『目の前の女性は、私とボランティアで遊んでくれている人だ。では、どうすればこの人がもっと自分と楽しもうという気持ちになれるのだろうか』と考えましょう」

 都内で働く25歳のOLは現在、会社の取締役(54歳)と不倫中だそうだが、彼女の言葉がいい。

「自分がしたいことをする男は二流だけど、こちらがしてほしいことをする男は一流ですよね」

 まことにその通りであるが、なかなか難しい。女性とのセックスでコミュニケーションを取るより、仕事をしていたほうが楽かもしれない。これを読みながらそう思った。

 さて、今週号最大の話題は、安倍首相の大義なき解散ではない。高倉健の突然の死である。享年83歳。不足ないといってもいい歳だが、われわれ70年安保世代は、健さんが年老いて首の周りのシワが幾重になろうとも、彼の後ろ姿に自分の青春時代の残像を見ていたのだから、ショックは大きかった。

 高倉健は昭和の男だった。彼の生涯を書き連ねる気はないが、私のささやかな健さんとの思い出について書いてみたい。私が編集者になって、どうしても会いたい人が3人いた。吉永小百合と長嶋茂雄、そして高倉健である。

 小百合(こんな言い方をしてゴメン!)とは残念ながら何度かすれ違っただけだが、長嶋さんとは食事をしたり、対談に出てもらったことがある。健さんとはニ度会うことができた。

 初めは公開される映画についてのインタビューだったが、若造の私の拙い質問にも嫌な顔をせず答えてくれた。憧れの人に会えた緊張感で何を話したかは覚えていないが、背筋がピンと張った姿勢のよさと礼儀正しさは強く印象に残っている。

 ニ度目は、青山にあった喫茶店。珈琲がうまく、健さんがときどき立ち寄る店としても知られていた。なんの取材だったか忘れたが、表通りの見える席で2人きり1時間ぐらい珈琲を飲みながら話を聞いた。

 覚えていることは、珈琲が好きで日に40~50杯飲むが、インスタント珈琲でもなんでも構わない。酒は飲まないが、京都・嵐山に酒を霧のように吹きかけて出すそば屋があり、そこだけは気に入っていて、京都へ行くたびに食べに行く。しかし、食べすぎると酔っ払っちゃってね。印象に残った言葉は、俳優をやるのはカネのためで、男子一生の仕事とは考えていなかった。健さんが40代のときである。

 健さんの映画は遺作になった『あなたへ』も含めてほとんど見ているが、晩年の作品では『ホタル』がよかったぐらいで感心しない。私のベスト3は一連の昭和残侠伝シリーズ、『居酒屋兆治』『八甲田山』。残侠伝は今でも気が滅入ったときに、気合いを入れるために見る。

 私が「週刊現代」編集長になった当初、プレッシャーのためか、うつ状態になったことがあった。会社が近くなると冷や汗が吹き出てきて、動悸が速くなってしまう。

 そんな自分の弱さを鼓舞するために、残侠伝を見てから出かけたことが何度もあった。ヤクザ、右翼、中核派などとトラブルになって話し合いに行くときには『唐獅子牡丹』の中の「なんで今更 悔いがあろ ろくでなしよと 夜風が笑う」という歌詞を口ずさんで“敵地”へ斬り込んだものだった。

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