深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.297
入江悠監督のメジャーでの所信表明『日々ロック』たった一人の聴衆に捧げる屋上ライブの愚直さ
2014/11/21 18:00
#映画 #パンドラ映画館
日々沼(野村周平)たちは大豪雨の中で屋上ライブを決行する。リスナーはたったひとり、どこかで聴いているはずの宇多川咲だけだ。
大型扇風機による強風と大量の雨という台風コントを思わせるベタな設定の中で、丸2日間にわたってぶっ通しで歌い続けた野村周平は、役づくりというレベルを越えて、ロックバカの日々沼そのものと化していく。自分のためだけに、純粋無垢なロックを捧げるバカものがいる。窓を開けた咲が、そして二階堂ふみが、微笑む。言葉にならない何かが通じ合った瞬間だった。
2015年1月31日(土)には、松竹よりもさらにメジャーな東宝系で入江監督が撮ったサスペンス大作『ジョーカー・ゲーム』が公開される。今後もメジャーから面白いオファーが届けば、入江監督はメジャーの仕事を受けるだろうし、インディーズで撮りたいテーマが見つかれば、またインディーズに戻って撮ることだろう。入江監督にとって、メジャーであるかインディーであるかはさほど重要な問題ではない。日々沼が愚直なまでにロックを追い求めたように、入江監督もまたロックな映画を作ることに情熱を注ぎ続けるはずだ。
(文=長野辰次)
『日々ロック』
原作/榎屋克優 脚本/吹原幸太、入江悠 監督/入江悠 出演/野村周平、二階堂ふみ、前野朋哉、落合モトキ、岡本啓佑、古舘佑太郎、喜多陽子、毬谷友子、蛭子能収、竹中直人 配給/松竹 11月22日(土)よりロードショー
(c)2014「日々ロック」製作委員会 (c)榎屋克優/集英社
http://hibirock.jp
最終更新:2014/11/21 18:00
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
9:20更新
イチオシ記事
現役ヤクザも視聴する78歳の元山口組顧問弁護士・山之内幸夫が「アウトロー系YouTuber」に大転身した驚愕の理由