『紅白』とも『レコ大』とも無縁でも……北の大地“塀の中”で歌い続ける演歌歌手・二美仁とは
2014/11/25 14:30
#演歌
二美も似たような事件の被害者だった。ブローカーにだまされて、父親の全財産をなくした二美は、薄汚い業界人がばっこする東京に絶望。その時に出会ったのが、札幌・ススキノのクラブでナンバーワンホステスだった、現在の妻、美喜子さんだった。美喜子さんは二美と結婚後、ススキノにサパークラブをオープンして、決してお金はなりにくい二美の歌手活動を支えた。
一方で1984年に、苦労と優しさを知る人柄と歌唱力を見込まれ、二美は法務省より北海道樺戸郡月形町にある月形刑務所の篤志面接委員に任命されて以降、刑務所の中で受刑者を対象にしたカラオケ教室を月1回開き、今日までの30年間、雨の日も豪雪の日もそれを楽しみにする受刑者の喜ぶ顔見たさに通い続けている。さらに、現在は月形だけではなく、札幌刑務所と女子札幌刑務支所の3カ所の篤志面接委員を務めている。
そうした功績が認められて、2009年に法務大臣から表彰を受け、昨年4月29日には天皇陛下より藍綬褒章を受章した。二美のファンは受刑者だけでなく、北海道を中心に沖縄までと幅広い。彼は「僕には歌しかない。これからも女房に支えられながら歌い続けます」と言う。
華やかな舞台をめぐって、歌手や音楽関係者の周辺にはブローカー的なヤカラやカネが行き交うこともある。そうした世界の底辺には、二美のような歌手がいることを知っていてほしい。
(文=本多圭)
最終更新:2014/11/25 14:36
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