死を覚悟するほどの腹痛を治した、北朝鮮“奇跡の”鍼治療「100本のぶっとい針が……」
#北朝鮮 #平壌でムーンウォーク
すると、私を見下ろしていた面々が一斉に笑いました。
「朝鮮では地震なんてないよ」
地震の少ない朝鮮半島、少なくとも皆が生きてきた間には地震を経験したことはないそうです。きちんと調べてみないとわかりませんが、過去100年間まともな地震は起きていないとも。
「日本ではしょっちゅう地震が起きています」と私が言うと、「怖い。絶対に住みたくない」と、皆一様につぶやいていました。
まあ一説では、北朝鮮の聖山・白頭山噴火間近といわれているので、もうすぐ地震どころじゃ済まなくなるんでしょうけどね。
その晩は、そのままマンションで夜を明かしました。
そして翌日。なんと、胃腸が痛くない! 下痢もない! むしろ食欲が止まらず、出されたご飯をモリモリと食べる私。絶好調でした。何をしても取れなかった痛みが、鍼で何事もなかったように消えるとは……。
ホテルへ戻るとき、どうしてもお礼を言いたかった私はペク医師を連れてきてもらい、マンションをバックに一緒に写真を撮りたいとお願いしました。命の恩人が住むマンションですからね。日本に戻ったらその写真を手に、思い出話をするつもりでした。
私のカメラは充電が切れてしまったので、住人に撮影と現像を頼みました。
しかし後日、マンションを訪ねて写真を受け取ると……。
なんだか、キラッキラまぶしいんですけど……?
見ての通り、背景がマスゲーム会場に差し替わっていたのです。「アリラン公演」をイメージしたものだそうですが、よくある観光地のプリクラのような強引さです。
私「ちょ……この背景はないでしょ! マンションをバックにしたから意味があったのに!」
住人「何言ってるの! アリラン公演をイメージした、栄えある背景なのよ。一番人気なの」
そうか、そう来たか……。そういえば、現像所に「背景タイプA」とか「背景タイプB」とか選べる欄がありました。ご丁寧にも一番人気の「背景タイプ:アリラン」を選んでくださったのですね。いや、ある意味素敵だとは思いますが、被写体が我々であるという点が問題です。
ともあれ、ペク医師のおかげで無事日本に戻ることができました。本当に感謝です。
ちなみに、こちらはペク医師が開発されたという注射薬「アトロクソフィリス」。いわくEUにも輸出されているそうですが、個人的にはペク医師の鍼のほうが効きそうな気もします。
●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>
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