東洋の神秘と西洋のオタク魂との華麗なる調和!『ザ・レイド』の続編がさらに過激に進化したッ
#映画 #インタビュー
──なるほど、イコさんはアクション映画を作るための超精密機械なんですね。
イコ まぁ、そういうことだね(照笑)。格闘シーンをやる際は、相手に気を遣うよ。撮影前はなるべく親切に接するんだ。それで「本番中にパンチが入るかもしれない。でも、ほんのちょっぴり擦るだけだからね」って事前に伝えておく。それで本番では「ボンッ!」ってマジで決めちゃうわけだけどね(笑)。カメラアングルによっては、どうしてもフルコンタクトしなくちゃいけないときもあるんだ。決して、相手のことが憎くて殴っているんじゃない。もちろん、顔面を殴るときはとても注意するよ。怪我しやすいし、アザになると、撮り直しができなくなるからね。
エヴァンス 運転手役のキャストと撮影中に本気の殴り合いになったよね? あのときは僕が2人の間に入ったけど、真相はどうだったんだい?
イコ あれはね~、エヴァンス、君が原因なんだぞ。彼は温厚ですごくいいヤツだったんだ。それで一発でOKにしようと思って、ガチンコで当てにいったんだ。いいパンチをもらって、彼は「うっ」となったけど、そのときは我慢してくれた。そうしたら、エヴァンスが「よし! じゃあ、もう1テイク!」って言うじゃないか。それで彼はブチ切れて、2テイク目のときに殴り返してきたんだ(苦笑)。
──『ザ・レイド』シリーズの撮影現場は、アドレナリン大噴出で大変ですね。
エヴァンス なるべくなら、みんながアドレナリン沸騰状態のところを撮りたいよね。本気でやることでリアルなシーンが撮れるわけだけど、あまりやり過ぎて、限界値を越えてしまうと怪我人が出てしまう。どの時点でストップさせるかの見極めは、監督として重要だったよ。でも基本的に男性キャストはみんな格闘技経験者たち。多少ガチで当たっても平気な人たちなんだ。自分が弱っちいと思われたくないという心理が働くみたいで、大変なスタントをやった後も「アハハ! 全然平気だぜ~!!」ってみんな高笑いしてみせるんだ。それで僕は「本当に大丈夫?」ってひとりずつ確認して、「じゃあ、もう1テイク」って言うわけさ。
イコ エヴァンスは「大丈夫?」って気を遣うふりをするのが、すご~くうまい監督だよ(笑)。
アクション映画の撮影はオーケストラみたいなもの
──前作から一転して、多彩なシチュエーションでのアクションを取り入れていますが、いちばん大変だったのは?
エヴァンス 技術的な面で大変だったのは、後半のカーチェイスシーン。香港からカースタントの第一人者であるブルース・ローが自分のスタントチームを引き連れて参加してくれたんだ。インドネシアでここまで本格的なカーチェイスの撮影は初めて。ジャカルタ市街地の公道を完全封鎖して撮影したんで、通行止めをくらった車や通行人たちからの罵声がスゴかった。お陰でカーチェイスシーンの撮影が終わった後は、インドネシア語でどんなに罵られてもすっかり平気になっていたよ(笑)。刑務所の中庭での雨中の乱闘シーンも大変だったな。脚本を書いたときは「これは超かっこいいシーンになるぞ」と小躍りしたんだ。オランダ植民地時代の軍の古い宿舎を見つけて撮影したんだけど、雨降らしをしながらの撮影はキャスト全員が泥だらけで誰が誰だか分からないし、足を滑らせて倒れるキャストやスタッフが続出するし、せっかく撮れたと思ったら、カメラのレンズに泥がはねてしまい、もうお手上げ状態さ(笑)。1シーンの撮影のために準備に1週間、撮影に1週間も掛かったよ。
イコ 僕はこれまでシラットの大会に数多く出場してきたけど、映画の撮影はまったくの別物だね。いろんなシチュエーションのスタントに挑戦することを楽しむようにしているんだ。僕にはジャッキー・チェンみたいな専属のスタントチームがあるわけじゃないけど、エヴァンスが立ち上げた「メランタウ・フィルムズ」には前作でマッドドッグ役を、そして今回も別の殺し屋役で出演しているヤヤン・ルヒアンといったシラット経験者が多いので、普段からどうすればアクションがカメラにより映えるかアイデアを出し合ったり、練習したりしているんだ。
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