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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 伝説の打ち切りマンガ『男坂』
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

伝説の打ち切りマンガ『男坂』が30年ぶりに連載再開! 待ち受けるのは天上界か、それとも……

などなど、中二病感あふれる熱いセリフの数々。中二病と硬派は、紙一重だったんですね。ちなみに、日本侵略を企む世界各国のマフィアのドンたちも、平均年齢13歳の中学生です。13歳にして数千、数万人の部下を引き連れてマフィアを組織しているのです。僕が13歳の頃なんか、まだチョロQとかで遊んでましたよ。どれだけスケールがデカイか分かりますでしょうか。

 ニューヨークのドン・ジャーメィン、イタリアのドン・バレンチノ、フランスのドン・マドモァゼル、スペインのドン・サンホセ、オランダのドン・ルスカ、プエルトリコのドン・ゴメス等々、まるでワールドカップのごとく、次から次へと各国を支配する中学生マフィアのドンたちが紹介されていきます。菊川仁義はそんな世界の脅威に対抗すべく、東日本の各地のボスたちにケンカを売っては傘下に収め、いよいよ北海道を仕切るボスを倒しに行くぞ! というところで、サクッと打ち切り。ちょっ……あれだけページを割いて紹介した世界のドンたちは、まったく出番なしかよ! という、このズッコケ具合。

 前フリの段階で目まいがするような壮大なスケール感。広げきってシワひとつないレベルの大風呂敷。張られまくった伏線に次ぐ伏線。そして、それらを一切回収することなく、突然の打ち切り……これらすべての条件がそろっていたからこそのレジェンドなのです。

 そういったことを踏まえて、そんなバカな、どうせデマだろうとささやかれつつも、ついに2014年6月、「週プレNEWS」(集英社)でWEB連載が開始されました。連載が再開されただけでもすごいのに、単行本第4巻が30年の時を経て刊行されるという、『ガラスの仮面』もビックリのインターバルっぷりで、ファンの度肝を抜きました。

 「そもそも打ち切りネタで有名になった作品を再開させてどうするんだ」「意味ねーじゃねーか」とか辛らつな意見もありますが、そこはやはり語り継がれた名作……4巻の内容も、3巻までとまったく色褪せぬ面白さでした。菊川仁義の好きなアイドルとして紹介されるのが「キョン2」だったりして、時間の経過をまったく感じさせないあたりも素晴らしいです。

 ちなみに4巻でも相変わらず北海道のボスと闘っていて、一向に世界のドンたちの姿は見えてきません。30年もの時を経ても、登り始めた『男坂』は、まだまだ果てしなく続くようです。このまま再打ち切りにならないことを祈るばかりですが、もし足掛け30年かけて復活したのにまた打ち切られるのであれば、それはそれで新たなレジェンドになるかもしれませんね。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

最終更新:2019/11/13 17:23
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