深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.294
“哀しき天才”安達祐実、20年ぶりの主演映画! ロリータの呪縛から解放された官能作『花宵道中』
2014/10/31 14:00
#映画 #パンドラ映画館
朝霧(安達祐実)が想いを寄せる半次郎役は『ぼっちゃん』(12)でレイプ&殺人鬼役を怪演した淵上泰史。今回は爽やかに、切ない濡れ場を演じる。
俳優という職業はとても特殊な仕事だ。撮影所や舞台といったフィクションの世界で過ごす時間が長く、現実世界とは異なる時間が身体の中を流れている。安達祐実の場合はさらに童顔ということもあり、子役時代のイメージが我々観客の脳裏にずっと焼き付いていた。『家なき子』に主演していた頃のイメージが更新されないままだった。そんな壊れたままの時計の針を動かしてみせたのが豊島監督だった。かつて天才子役と呼ばれた安達祐実も彼女に新しいチャンスを与えなかった日本の芸能界も、20年間近くずっと時間が止まったままだったのだ。子役イメージの呪縛からようやく解き放たれた安達祐実は、とても無邪気な笑顔と妖艶な姿の両面を見せる。止まっていた時間を取り戻したかのように、持てる能力を存分に発揮してみせる。
『花宵道中』は単なる官能映画ではない。豊島監督と安達祐実が止まっていた時計の針を動かすことを決心した本気印の勝負作である。20年前からほとんど変わりばえしない日本の芸能界もそろそろ真剣に時計のネジを巻いたほうがいい。才能が発揮できずにいる“哀しき天才”は安達祐実の他にもまだまだいる。
(文=長野辰次)
『花宵道中』
原作/宮木あや子 脚本/鴨義信 監督/豊島圭介 出演/安達祐実、淵上泰史、小篠恵奈、三津谷葉子、多岐川華子、立花彩野、不破万作、友近、高岡早紀、津田寛治 配給/東京テアトル R15 11月8日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
(c)2014 東映ビデオ
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最終更新:2014/10/31 14:00
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