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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.294

“哀しき天才”安達祐実、20年ぶりの主演映画! ロリータの呪縛から解放された官能作『花宵道中』

hanayoidouchu02.jpg江戸時代の女郎遊びを再現。安達祐実、小篠恵奈の他、三津谷葉子、多岐川華子、立花彩野、さらに高岡早紀といった綺麗どころがそろう。

 男たちを歓ばせるために、夜ごと秘密の花を咲かせる朝霧だったが、幼い頃から吉原の塀の中で育ったため、まだ本気で男を愛したことがない。そんな折、吉原で大火があり、山田屋の女郎たちは女将(友近)に連れられ、深川へと一時移転する。吉原に売られてきた女郎たちは、久々に外の空気が味わえてうれしい。妹分の八津(小篠恵奈)と深川八幡の縁日へと出掛けた朝霧は、そこで気のいい染め物職人の半次郎(淵上泰史)と出会い、切れた下駄の鼻緒を直してもらう。仕事以外の場所で初めて男に優しくしてもらい、生娘のように心をときめかす朝霧。だが、2人の仲を引き裂くように腹黒い商人・吉田屋(津田寛治)が現われる。2人がただならぬ関係であることに感づいた吉田屋は、座敷に朝霧を呼び寄せ、半次郎が同席している場で陵辱するのだった。

 惚れた男が見ている目の前で、プロの風俗嬢を手篭めにするというこのシーン、相当ポイントが高い羞恥プレイである。このシチュエーションを考え出した吉田屋自身もかなり興奮している。子役時代の面影が残るロリータフェイスに苦悶の表情を浮かべる安達祐実。彼女の小ぶりな乳房をあらわにして執拗にもみしだくのは、『不倫純愛』(10)や『恋の罪』(11)などの官能映画で過激な濡れ場を演じてきた津田寛治だ。熟練した責め技にリアルに悶えながら、愛する男の前で痴態をさらす己の業を呪うヒロインの葛藤を安達祐実は見事に演じてみせる。まさにプロ中のプロの仕事ではないか。

「ずっと世間の安達祐実に対するイメージと、実際の私の間には大きな隔たりがあると感じてきました。そこで、見ている方に驚いていただけるような役や演技をすることで、安達祐実をもっと自由に捉えていただけるようになるのではないかと考えたんです。イメージにないことをすると、当然賛否両論が出てくると思います。ただ、今の私にはそれらを受け止める準備ができています」と初めての遊女役を演じきった安達祐実は語る。彼女にとって本作が覚悟の作品であったことが分かる。

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