著名人”25人”の証言から探るVシネ帝王の真の顔……哀川翔ってナニモノだ!?【後編】
#映画 #サイゾー
――1989年、東映ビデオ株式会社が、劇場公開を前提としないレンタル専用映画「Vシネマ」の制作を開始した。邦画不況の当時にあって、制作スタッフや役者を育てながらクオリティの高い作品をつくり続けることを目指し、ハードボイルド路線を突き進んだVシネマを、一躍ブレイクさせたのが哀川翔初主演作『ネオ チンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』シリーズだった。その後活躍の場を広げ、テレビバラエティや映画、ドラマへ出演を重ねる哀川翔が、今年2014年に東映Vシネマ25周年を記念して作られたオールスター作『25 NIJYU-GO』で主演を張る。この「哀川翔」という男は、いったいどんな人物なのだろうか? 彼を知―る各界の人物25人に尋ねてみた。
前編は【コチラ】
哀川翔(あいかわ・しょう)
1961年5月24日、鹿児島県出身。一世風靡セピアの一員としてデビュー。88年、ドラマ『とんぼ』(TBS)で注目を集め、90年に『ネオ チンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』でブレイク。以後人気シリーズに出演を重ね、「Vシネマの帝王」と呼ばれる。近年では映画やドラマ、バラエティにも多く出演。釣りやゴルフ、昆虫採集ほか多趣味であり、特にカブトムシには情熱を注いでいる。なお、本ページのカブトムシは哀川画伯の手によるもの。
【証言15】谷 桃子『”破天荒キャラ”のきっかけは「ゼブラーマン」でした』
哀川さんの出演作では『ゼブラーマン』がとても印象的です。Vシネマの帝王とまで呼ばれ、数々の“アニキ”役をやってこられた哀川さんが三枚目のヒーローをやることが衝撃的でした。私が『ゴッドタン』に挑戦して、空気の読めない破天荒(!?)キャラをいただくきっかけにもなっているんですよ。グラビアからステップアップしたくてキャラクター作りに悩んでいた時に『ゼブラーマン』を観て、「哀川さんはキャラクターがこんなに出来上がってる人なのに、それを壊すんだ!」と思ったことが、背中を押してくれました。
谷 桃子
1984年9月9日、茨城県生まれ。タレント、女優。『ゴッドタン』(テレビ東京)などのバラエティではド天然かつ破天荒なキャラを見せる。『厳選いい宿』(テレビ東京)出演中。主演映画『鬼灯さん家のアネキ』公開中。
【証言16】鮫肌文殊『哀川翔アニキ頼みのテレビバラエティ』
俳優・哀川翔も凄いが、私の職場であるテレビのバラエティ番組の現場でもアニキは本当にすごい。 とにかく多趣味。有名な、趣味のキャンプの様子を追うだけで一本番組ができてしまう濃さ。ヲタッキーなカブトムシの飼育もしかり。友人が多い。トーク番組でネタに困ったことがない。夫婦ゲンカネタも豊富。子育て論も傾聴に値する。全身どこを切っても番組になってしまう稀有なテレビタレント。哀川翔アニキ、まだまだテレビはアニキに甘えると思いますが、これからも夜露死苦!
鮫肌文殊
1965年、兵庫県生まれ。放送作家。『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)、『さまぁ~ずの世界のすげぇにツイテッタ~』(MBS系)などを手がける。毎週木曜20時『決定!レコ歌ベストテン』(中央エフエム)放送中。
【証言17】西森路代『「マイナーなままメジャーになる」宣言の実現』
三池崇史は東映60周年のインタビューで「映画産業を支えていた映画会社の力が弱まり、台頭してきたVシネマという時期がなければ僕は監督やってないだろうな」と語っていたが、混沌とした時代のVシネマはパワーに満ちていて、その中のひとつが哀川翔という俳優だったと思う。哀川は、Vシネマの世界に飛び込んだ当時「俺はマイナーなままメジャーになる」と宣言したそうだが、誰が見ても実現していると言えるだろう。先見の明があり、ワクワクすることに敏感だからこそ、哀川翔は見ている人を何年も飽きさせないのかもしれない。
西森路代
1972年、愛媛県生まれ。ライター/人気評論家。アジア系エンタメや女性と消費に関するテーマなどを執筆。著書に『Kポップがアジアを制覇する』(原書房)、『女子会2.0』(共著/NHK出版)など。
【証言18】遠野なぎこ『遊び心と役者魂のバランス感覚に憧れます』
バラエティで披露される遊び心と、画面からビシバシ伝わってくる役者魂……。バランス感覚が抜群に魅力的で、老若男女問わず惹きつけられてしまう方だなぁ、と思いながらご活躍を拝見しています。どのようにして“オンリーワン”の道を歩むことができたのか、ブレない男気や色気は一体どこからくるものなのか……。“男にモテる男”の基盤となる生き方は、どう形成されてきたのか。とにかく気になることがたくさん。いつかお芝居でご一緒させていただき、そのエネルギーを間近で体感させてください!
遠野なぎこ
1979年、神奈川県生まれ。女優。99年、連続ドラマ小説『すずらん』(NHK)でヒロインに抜擢、映画『日本の黒い夏 ─冤罪─』(01年)で日本映画批評家協会新人賞受賞。母との葛藤を綴った自伝小説も話題に。
【証言19】小島みなみ『やっぱり小さい頃からかっこよかったんですか?』
テレビや映画などで哀川さんのお姿を拝見していて、演技中もバラエティでの素っぽい表情も素敵だな、と思っています! 以前『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジ)で「男気ジャンケン」をしているのを見ましたが、ジャンケンをしている姿までかっこよかったです。やっぱり小さい頃からかっこよかったんでしょうか? それがとても気になります。オフの姿も見てみたい方ですね。哀川さんのような男気あふれる男性に「俺についてこい」と言われたら、どこまでもついていっちゃいます(ハート)
小島みなみ
1992年、神奈川県生まれ。AV女優。11年デビューし、紗倉まなとユニット「乙女フラペチーノ」としても活動中。出演映画『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』公開中。
【証言20】島田秀平『手相の線までも濃い、人生を楽しむ自由人』
以前に手相を見せてもらいましたが、とにかく線が濃い。これは濃ければ濃いほど、自分をしっかり持っている証拠です。中身は、まず「モテ線」が長い。人から愛され支持されるということですね。それと「KY線」。これは芯が強く、周りにあまり合わせない、ということ。それから、自由で、気持ちに正直で、雲のような人にできる「ビアラシビア線」。あとは、周りを楽しませるサービス精神旺盛な「ユーモア線」。つまり手相的に総合すると、哀川さんは「皆から愛される、少し空気の読めない、人生を心から楽しんでいる自由人」といえますね。
島田秀平
1977年、長野県生まれ。96年から08年までコンビ「号泣」で活動したのち、手相観や都市伝説をネタにしたピン芸人に。『エンタメ〜テレ 超ムーの世界』(名古屋テレビ)等に出演中。
【証言21】宮崎 学『誰もが認める、演技力と人柄を兼ね備えた人物』
哀川さんとは、拙著を映像化した『喧嘩の極意~突破者番外地~』にご出演いただいた時から何度かお会いしているが、初対面から礼儀正しく好感が持てた。「冬の時代」と言われる映画業界で活躍するには演技力は不可欠だが、人柄はさらに大切だ。哀川さんが双方を兼ね備えていることは誰もが認めると思う。「東映」のヤクザ映画は、単なるドンパチだけではなく「ヤクザの悲哀」を描き出した名作も多かった。Vシネマも同様で、スタッフの皆さんがいい作品を作ろうと努力してきたからこその25周年であろう。哀川さんとは、拙著を映像化した『喧嘩の極意~突破者番外地~』にご出演いただいた時から何度かお会いしているが、初対面から礼儀正しく好感が持てた。「冬の時代」と言われる映画業界で活躍するには演技力は不可欠だが、人柄はさらに大切だ。哀川さんが双方を兼ね備えていることは誰もが認めると思う。「東映」のヤクザ映画は、単なるドンパチだけではなく「ヤクザの悲哀」を描き出した名作も多かった。Vシネマも同様で、スタッフの皆さんがいい作品を作ろうと努力してきたからこその25周年であろう。
宮崎 学
1945年、京都府生まれ。ヤクザの組長の息子として生まれ育ち、96年『突破者─戦後史の陰を駆け抜けた50年』で作家デビュー。近著に『突破者 外伝──私が生きた70年と戦後共同体』(祥伝社)ほか。
【証言22】水崎綾女『夜中の撮影、睡魔と戦う姿が可愛かったです♡』
実は私、小学生の頃から「好きな有名人」の欄には「哀川翔」と書いていたんです(笑)。映画の撮影で哀川さんの相手役を演じたとき、ロケ地の周囲が森だったので、空き時間にカブトムシを取っていらっしゃって、キスシーンの撮影の合間にもカブトムシ知識を披露しておられました(笑)。翔さんはいつも夜8〜9時頃には寝て朝4時に起きるそうで、撮影が夜中に及ぶとウトウトするんです。「俺は21時過ぎたらろれつが回らねぇ」と睡魔と闘いながら撮影されていたのが、大先輩ですが可愛かったです。
水崎綾女
1989年、兵庫県生まれ。05年にグラビアアイドルとしてデビューし、以後は女優として『特命戦隊ゴーバスターズ』などに出演。15年公開の映画『進撃の巨人』、ドラマ『彼岸島』に出演予定。
【証言23】増田俊也『さりげない俠気と色気が内面から滲み出る』
哀川さんの出演する作品を見ていると、さりげない俠気と色気が内面からじわりじわりと滲み出ています。今の俳優にはこれが出せない。男の色気というのは、繊細さがないと醸し出せない。ああいった男くさい演技をできる人は、私生活では実は繊細な人であることが多い。その私生活上の優しさも画面で見てみたい。一緒にお仕事をするとしたら、僕の活字作品の映画主演をお願いできたらどんなものになるのか楽しみ。特に女性が絡んだ恋愛もので組んでみたい。抑制された大人の恋愛を演じられる数少ない俳優だと思います。
増田俊也
1965年、愛知県生まれ。作家。06年デビュー。12年ノンフィクション『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)で第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞をダブル受賞。
【証言24】般若『共演する機会があれば、盾になって死ぬ役をやりたい』
哀川さんの出演作品で印象に残っているのは、長渕剛さん主演の『とんぼ』 (TBS)です。哀川さんが演じたツネ(水戸常吉)は、僕ら世代では永遠です。テレビや映画を観ていて思うんですが、哀川さんはその都度に応じて完璧な対応を取られていると思うんですよ。でも、そのすべてが“哀川翔”なんですよね。お会いしたことはないんですが、普段どんな方なのか、すべてが気になる存在です。もし、今後共演する機会があったのなら、僕が哀川さんの盾になって死ぬ役を演じたいです。
般若
日本を代表するヒップホップMC。04年のファーストアルバム『おはよう日本』リリース以降、コンスタントに作品を発表。08年には自身が主宰するレーベル「昭和レコード」を設立し、精力的に活動を展開している。
【証言25】岩田和明(「映画秘宝」編集長)『アクションヒーローと茶目っ気の両面性』
僕はVシネ直撃世代ではないので、哀川さんのファーストインパクトは『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99年)でした。すでにこの時点で、座長の存在感を存分に発揮するアクション・ヒーローという印象で、それと同時に『D.O.A』のようなアバンギャルドな狂乱作品にも嬉々として参加する茶目っ気を併せ持つ、懐の深い俳優という印象も持ちました。強面ヤクザ役を凄みのある表情で演じているのに、甲高くて茶目っ気あふれる声質とのギャップもあって、そのユーモア性こそ、哀川さんにしか醸し出せない独特の個性だと思います。
岩田和明
1979年生まれ。演劇スタッフ、月刊誌「GON!」編集部(ミリオン出版)などを経て、06年より「映画秘宝」(洋泉社)編集部に所属。12年より編集長に就任。(画像/月刊「映画秘宝」12月号は税込1080円で10月21日発売)
<映画紹介>
『25 NIJYU-GO』©2014東映ビデオ
監督/鹿島勤 脚本/柏原寛司ほか 出演/哀川翔、寺島進、温水洋一、高岡早紀ほか 製作/東映ビデオ配給/東映 公開/11月1日
主演の哀川翔のほか、小沢仁志・和義兄弟、寺島進、石橋蓮司、大杉漣、本宮泰風、竹中直人などなど、Vシネマで活躍した俳優たちが大挙出演する、東映Vシネマ25周年を記念して製作されたピカレスクロマン。
カネに困った悪徳刑事コンビ(哀川&寺島)、60億円の巨額横領事件を起こした公務員(温水)、彼が入れあげた高級クラブママ(高岡)、組織の掟に背いてドラッグの取引を進めるヤクザ、取り引き相手の中国マフィア(竹中)、金を強奪しようとする半グレ集団……と、25者25様の悪人が、25億円の金をめぐって奔走する。
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