未来のことを考えてるほどヒマじゃない! 『甲殻不動戦記 ロボサン』でエビ中は何と戦うのか
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「財布の中に1円玉に8枚もあるとか、すごいストレスなんですけど」
「こういう時に限って、端数が全然出なかったりするんだよ。もし万が一、9円とか言われてさ、10円出したら1円がお釣りで返ってくるじゃん? そしたら1円玉が9枚になっちゃうんだよ!」
「なんで私、皆のためにお菓子買ってきて、こんな思いしなくちゃなんないの?」
少女たちにとって、遠くから迫ってくる地球の危機や人類の未来なんかより、目の前の日常が大事なのだ。「ウチらは今で精いっぱいなんだよ。未来のこととか考えてられるほど、ヒマじゃないんだよ!」と。そうして「5円玉」をめぐり、話は意外な方向に展開していく。
そして敵のロボットが迫る中、思わぬ形でロボットが起動し、アッと驚く方法で戦っていく。そんな展開も驚きだが、何よりも驚くのは、低予算のテレ東深夜のドラマとは思えない最新のVFX技術を駆使した大迫力の巨大ロボット同士のバトルシーンのクオリティだ。日常の、それも少女たちのユルすぎる会話劇と、地球を救う巨大ロボットの戦闘という非日常のギャップ。そのギャップこそ、このドラマの魅力だ。そして、交差するはずがない日常と非日常がシンクロしていく。
「ロボット」×「少女」は、アニメなどでは繰り返し使われてきたモチーフ。けれど、これまでドラマでは予算や技術的に難しかった。だが、最新VFXとアイディアあふれる脚本と演出、そしてアイドルグループの幸福な出会いによってそれが実現した。
戦いを通して、少女は決して肉体的に強い女性に成長するわけではない。可憐でか弱き存在のまま、非日常を日常のままサバイブするように戦う。それはまさに、今のアイドルの姿、そのものだ。だから『甲殻不動戦記 ロボサン』は、紛れもないアイドルドラマなのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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