映画よ、これがVシネマだ。史上最凶のアニキたちがVシネ記念作『25 NIJYU-GO』でドリーム競演!
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人生は祭りだ。巨匠フェデリコ・フェリーニ監督は『8 1/2』(63)の主人公にそう語らせた。東映Vシネマ25周年を記念したメモリアル大作『25 NIJYU-GO』は、まさにお祭りムービー。フェリーニとVシネマではあまりに掛け離れているが、地球をぐるっと一周してごっつんこした、そんな感じ。“Vシネマの帝王”哀川翔を筆頭に、東映Vシネマ第1作『クライムハンター 怒りの銃弾』(89)にも出演していた寺島進、“顔面リーサルウェポンズ”小沢仁志・和義兄弟、Vシネマニアに語り継がれる『カルロス』(91)の竹中直人……。Vシネ四半世紀の歴史を築いてきたレジェンドたちが続々と登場する。彼らは当然ながら『8 1/2』の主人公のように悩むことはない。本能の赴くまま突っ走り、盛大なドンパチをぶちかます。うたかたの人生、どーせなら思いっきりアゲアゲのお祭りにしてやろうじゃねぇの。欲望原理主義者たちが集い、どでかい花火が打ち上げられる。
テレビドラマよりも倫理コードがゆるく、また従来の日本映画ではOKが出なかったような偏った企画内容こそがVシネマの魅力だ。Vシネマが産声を上げた80年代後半、邦画はドン底状態で、もはや映画スターという言葉は死語だった。映画界では食べていけず、かといってトレンディドラマ全盛期のテレビ業界にも馴染めない人々がVシネマに集まった。製作予算は限られ、撮影スケジュールは超ハード。そんな過酷なVシネマの現場では様々な伝説が生まれた。一世風靡セピアで活躍後、長渕剛主演ドラマ『とんぼ』(TBS系)などに出演していた哀川翔は「六本木でいちばん元気な男(=毎晩、飲み歩いている男)」という理由で、高橋伴明監督に抜擢されて『ネオチンピラ 鉄砲玉ぴゅ~』(90)で初主演を飾った。『鉄砲玉ぴゅ~』のヤクザにも堅気にもなれないハンパなチンピラ役は当時の哀川翔にぴったりだった。Vシネブームに乗って、哀川翔は年間で主演作10本、助演作12本を数える超売れっ子に。脚本を読む暇もなく、カメラのセッティング中に次のシーンの台詞を覚えた。役づくりは不要で、Vシネ界でのし上がっていく自分自身を演じていた。
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