視聴率なんて信用できないと言ったじゃないか! クドカンの真骨頂 『ごめんね青春!』
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そして、平助は冒頭の「簡単なクイズ」を出題したのだ。付き合える可能性のほうが高いと色めき立つ生徒たちを前に、きっぱりと言う。可能性は「0%」と。
「彼氏はいないけど、お前とは付き合いたくない」
それが相手の本音だと。
「だいたい誰とも付き合わないって言った女が、誰とも付き合わなかったことなんかないんだよ。付き合うからね、必ず。お前以外の誰かと!」
と、急に熱を帯びて語る平助。かつて平助は「誰とも付き合えない」と祐子(波瑠)に振られ、その恋を応援してくれていた親友サトシ(永山絢斗)と祐子が花火大会の日、「さんじょ」の礼拝堂の屋上でキスをしているのを目撃した。親友の裏切りと失恋で自暴自棄になった平助は、礼拝堂に向けてロケット花火を数十発打ち込んだ。そしてその日、礼拝堂が燃えてしまう。自分が原因ではないかと思いながらも、その現実に向き合うことができず逃げてしまった。平助はその後悔を抱えたまま、「青春」を卒業できずにいるのだ。そんな自分と重ねるように、生徒たちに呼びかける。
「女子と向き合え! そして冴えない自分と向き合え!」
青春とは、自分には無限の可能性があると勘違いさせてくれる魔法の言葉だ。平助たちが「友達からでよかったら」という返事を「友達」に目をつぶり、「から」を重視して「友達から墓場まで」「結婚を意識してる」と、むやみにポジティブに解釈してしまったように。青春は無責任で無鉄砲に夢中に輝ける時間だ。
一方で、青春時代は、そんな自分がまだ何者でもないという現実を残酷なまでに教えてくれる。本当のことを知りたいと思いながらも、それを知りたくないという矛盾と苦悩に満ちた時間だ。あまりに楽しく、笑えて、そして切ない。それはまさに『ごめんね青春!』そのものだ。青春時代に悔いや思い残しのない人なんて、きっといないだろう。『ごめんね青春!』は、僕らをそんな青春時代にちょっとだけ戻してくれるドラマなのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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