視聴率なんて信用できないと言ったじゃないか! クドカンの真骨頂 『ごめんね青春!』
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「今は誰とも付き合えない」
関ジャニ∞・錦戸亮演じる教師・原平助は生徒たちに向かって「簡単なクイズ」と称して、そう女子に言われたとき、実際に付き合える確率は何%か、と問いかけた。平助は「とんこー」と呼ばれる偏差値44の男子校の教師。女子との接点がほとんどない「とんこー」の男子生徒たちは「50%!」「だって彼氏いないってアピールじゃん」「だったら80%じゃね?」などと口々に答えていく。
『ごめんね青春!』(TBS系)は、宮藤官九郎が『あまちゃん』(NHK)以来、約1年ぶりに連ドラ脚本を手がける作品だ。初回の視聴率は10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と決して高いものではなかったが、『あまちゃん』の高視聴率を「たまたま」だと宮藤本人が繰り返していたように、もともとクドカンドラマは視聴率には縁がない。けれど、錦戸をはじめとするキャスト陣の好演、真島昌利による劇伴や主題歌「言ったじゃないか」のハマりっぷり、そしてクドカンの脚本を生かした軽妙洒脱な演出は、まさにクドカン作品の真骨頂。深く愛されるドラマになりそうだ。
『ごめんね青春!』は、平助の母校であり、勤め先である仏教系男子校の駒形大学付属三島高校(通称「とんこー」)と、その隣に建ち、犬猿の仲であるカトリック系の名門女子校・聖三島女学院(通称「さんじょ」)との合併をめぐるコメディドラマである。
冒頭10分、初回とは思えないほどのスピードで、状況設定とキャラ立ちした主要登場人物を次々と紹介していく。満島ひかりと波瑠が姉妹という説得力と、錦戸亮とえなりかずきが兄弟というファンタジーが同居したドラマであること。暴力的なまでに潔癖で勝ち気なヒロイン・満島ひかりと、生徒思いだが気弱な主人公・錦戸亮の対比。過去に何か“事件”があったらしいこと。それに平助が絡んでいるらしいこと。「さんじょ」と「とんこー」の因縁。……などなど、普通なら1話分をかけて伝えるものすごい情報量を、たった10分足らずで終えてしまったのだ。だから、物語は加速するようにどんどんと進んでいく。これまで停滞していた合併話は、3年生の1クラスの生徒を半分ずつ交換し、共学のクラスを半年間「お試し」でやってみる、という平助の提案が採用され、急速に動きだす。
お試しでの共学化が決まり、平助はクラスの生徒たちに、共学のメリットとデメリットについて講義する。そのメリットもデメリットも、平助は「思いつかない」という。なぜなら、自分も男子校しか経験がないからだ。平助は男子生徒たちに語りかける。
「(男子校に)デメリットがないってことは、居心地がいいってことだ。しかし、卒業したら外の世界には女がいる。そんな居心地の悪い世界で、とりあえず脱いで爆笑取れるか?」
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