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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > オリラジ中田が暗黒時代語る
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第70回

オリラジ中田が熱弁「なりたくてなる天狗はいない」 『しくじり先生』の、成功するための教科書

oriraji1010.jpg怖いものなしだった頃のオリラジ

「しくじらないで生きていける人間なんているのか!」

 オリエンタルラジオの中田敦彦は、“生徒”たちを前にものすごい熱量で語った。10月2日からレギュラー放送が始まった『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)は、人生を「しくじった」経験がある人を講師に迎え、その失敗から「しくじらないための極意」を学んでいこうという番組である。昨年11月から不定期で放送された3回のパイロット版が好評を博し、レギュラー化したものだ。

 たとえば、パイロット版の2回目となる3月14日の放送では、元フィギュアスケート・織田信成が講師として登場。大舞台でしくじってしまった過去を振り返りながら、それを回避する極意を教えた。信成は「20年間、あと一歩のところで天下を取り逃してきたんです」と語り、世界フィギュア選手権(2009年)、バンクーバー五輪(2010年)、グランプリシリーズ中国杯(2009年)を自ら「3大しくじり舞台」と挙げる。そして、それぞれに「ジャンプ一回多く飛んじゃったの乱」「靴ひもが切れちゃったの乱」などと名前を付け、自分の失敗体験を軽妙に語っていく。極めつきは、中国杯での「自分でも信じられ変」。チャップリンを模した衣装の股間のチャックが全開のまま演技してしまったあの事件を、「後にマスコミに『チャックリン』と名付けられた」などとユーモアたっぷりに披露したのだ。信成はこの放送がきっかけになったのか、その後、フィギュアスケート関連以外の番組でもテレビタレントとして数多くの番組で見かけるようになっていった。

 そして、レギュラー番組になって初めての講師役がオリエンタルラジオだった。オリエンタルラジオといえば、「史上最速のブレーク」などという肩書で売り出され、デビューしてまもなく、レギュラー番組はもちろん、ゴールデンタイムに冠番組まで作られた。しかし、それも長く続かず、わずか数年で失墜。レギュラー番組は次々と終了し、まさに「しくじり」を経験した。それを中田は「ここまでゴリ押しされて、全部終わったの、おそらく初めてですよ」と自嘲して言うのだ。「ゴリゴリ押しのゴリ終わり!」と。

 その後、しばらく低迷し、同期のはんにゃらに逆転されたものの、藤森慎吾の“チャラ男”のキャラなどで再浮上するという上り下りの激しい芸人人生を歩んでいる。こんな経験をした芸人はなかなかいない。だから「この授業は僕らにしかできない」と、中田は胸を張る。

 なぜ、「史上最速のブレーク」を果たしたオリエンタルラジオが失墜したのか? もちろん、それにはさまざまな要因があるだろう。だが、中田は潔くたったひとつの理由に集約させた。

「ハッキリ言いましょう、天狗になったんです。ふたりとも!」

 当時から「これはもう『現象』」「僕らがこうだからとか、ここでこうしたいからという理由では説明がつかない」(『Quick Japan』Vol.77/太田出版)などと自分たちの置かれた状況を客観視していた中田であれば、“天狗”になってしまう罠を回避できたのではないか、と思える。しかし「なりたくてなる天狗はいない」「天狗には自覚症状がない」と中田は言う。

 そして、“天狗”を定義し直す。「天狗とは、特別扱いを当然だと思っている状況」だと。つまり、自分が“特別扱い”されていることが当たり前になってしまうから、“特別扱い”されていることにすら気づかない状態なのだ。

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