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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 「ケイブンシャの大百科」今昔物語
【バック・トゥ・ザ・80'S】Vol.16

小さい誌面にディープな情報がみっちり詰まった「ケイブンシャの大百科」今昔物語!

■ケイブンシャの大百科の終焉……そして現在

keibun01.jpgキヨマー時代の一冊
keibun06.jpg鉄道系も充実

 しかし、ケイブンシャの大百科の全盛期は、80年代後半には過ぎていたという。

「80年代後半になるとマンネリ化し始めたせいか、徐々に売れなくなってきていました。売れなくなると悪循環で、だんだんページ数が減って、金額が上がっていきます。そうなると、読者のお得感も減ってきたと思います。もう80年代半ばくらいからその気配がみられるようになって、そろそろ勁文社も大百科依存から脱却しようという空気になってきました」

 この頃になると、特撮・アニメオタク向けの設定資料集や書籍も数多く出版されるようにもなっていたことから、高年齢層の読者も離れていたということだろう。ケイブンシャの大百科で、オタク趣味に目覚めてしまった子どもたちも、ある程度年齢を重ねて、よりマニアックな専門誌に情報を求めていったのかもしれない。いずれにせよ、日本全国の子どもたちやオタクに知識や情報獲得の快感を教えてくれたケイブンシャの大百科は、80年代のサブカルチャー史に多大な影響を与えながらも、誰にも評価されることなく役目を終えていった。

90年代に入ると、80年代に数多く出版された「変な本」は姿を消し、アニメやゲームの情報を集めたものと過去に出版された雑学系大百科の改訂版が主力となった。かつて「ケイブンシャの大百科」シリーズが持っていた、得体の知れないパワーは鳴りを潜め、2002年、勁文社の倒産とともに30年近くに及ぶ歴史に幕を下ろした。

 しかし、ケイブンシャの大百科が僕らに与えてくれた熱気は、今も多くの人の胸にくすぶっている。そんな熱気を再び呼び起こしてくれるような一冊を、黒沢さんは10月18日に上梓する。

keibunjk.jpg

 そのタイトルは、『よみがえるケイブンシャの大百科~伝説の70~80年代バイブル~』(いそっぷ社)。ケイブンシャの大百科の内容を振り返ることのできるテキストや、いま見てもワクワクする表紙画像、本文画像などをギュギュっとまとめた、まさしく「大百科の大百科」とでもいうべき一冊だ。

「勁文社は、編集の仕事のことは何も教えてくれませんでした。全部独学で学ぶしかありませんでした。それでも続けていたのは、やっぱり大百科を作ることが好きだったからでしょうね」

 黒沢さんはこう当時を懐かしみつつ、ケイブンシャの大百科への愛を語る。最後に彼は「そうそう」と、当時の読者である子どもとの、あるエピソードを語ってくれた。

「ある子どもが、学校でアニメの歴史を調べてこいって言われて、『アニメの歴史を調べたいんですけど』ってたどたどしい声で電話してきたんです。でも、こっちも専門家じゃないから『よく分からないです』って答えると『はあ~』って、ものすごいがっかりした声を出すんです。それで、会社にある資料と他社の本をまとめて箱に詰めて送ってあげたら、親御さんから『期待を裏切らなかった。ありがとう』っていう長文の手紙と菓子折りが来たんです」

 なんと心温まるエピソードではないか。

「やっぱり僕たちは、大百科を読んでくれる子どもたちに作っていたからね」

 黒沢さんはそう語る。

「もっと面白い情報を詰め込みたい」と意気込む編集者・ライターと、「ケイブンシャの大百科なら、きっと知らない情報が載っているはず」と期待する読者の間にある信頼関係こそが、このシリーズの一番の魅力だったのかもしれない。
(取材・文=有田シュン[シティコネクション])

<イベント情報!>
シティコネクションpresents
『よみがえるケイブンシャの大百科~伝説の70~80年代バイブル~』発売記念 バック・トゥ・ザ80’sトークライブVol.2 ケイブンシャの大百科ナイト!開催決定

今回の記事の内容はもちろん、さらに色々なエピソードや制作裏話が飛び出す爆笑トークライブを開催!
当日は、今はなき「ケイブンシャの大百科」編集部の映像も上映される!?

【出演者】
黒沢哲哉(元・ケイブンシャの大百科編集者)、☆よしみる(元・ケイブンシャの大百科編集・漫画執筆など)、有田俊(ライター)、斉藤淳一(歌手)

【会場】
東京カルチャーカルチャー
(りんかい線 「東京テレポート駅」より徒歩5分、ゆりかもめ 「青海駅」2分)
アクセスマップはこちら
http://tcc.nifty.com/accessmap/

【日時】
10月26日(日)開場 18:00/開演 19:00

【料金】
前売チャージ券2,100円 (要1オーダー制アルコール500円~、ソフトドリンク420円~)
当日チャージ券2,600円

チケット購入はこちら
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002139125P0030001

最終更新:2014/10/17 11:55
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