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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > マラソン銅メダル・川内の軌跡
アスリート列伝 第19回

【アジア大会マラソン 銅メダル】市民ランナー・川内優輝の使命感とマラソン愛

 猛烈な練習に明け暮れた高校時代に思ったような成績を出せなかったものの、大学時代に練習時間が短縮されると川内の記録はとたんに向上した。ほかの選手はいざ知らず、川内にとっては短時間の集中したトレーニングこそが最大の効果を発揮できるようだ。川内は、監督もコーチもなく、市民ランナー仲間とのトレーニングを行っている。自分自身で練習メニューを考え、その結果にも責任を持つ、さながらパンクバンドのようなDIY精神を持つランナーだからこそ、彼は独自の練習を続けることが可能なのだ。

 現在、川内は、ある「使命感」に燃えている。

「陸上界に(市民ランナーの)自分が新しい可能性を示してやるぞとか、日本の男子マラソン界を変えるんだ、くらいのつもりになってテンションが高まっています」

 実業団に入らずともマラソンを続けられること、そして結果を残せることを、自身の活躍によって証明してきた川内。それは、「プロでなければ戦えない」と無自覚に考えてきた日本陸上界や日本スポーツ界にとって、常識破りの出来事だった。

「整備された登山道以外は困難な道だと思っていても、それが自分にとって困難な道とは限りません。(略)そして、そうした道を選んだほうが、人生も面白いのではないでしょうか」

 10月3日に行われる「仁川アジア大会」のマラソンに出場する川内は、金メダルのみを目標に据え、「取れなければ来年の世界選手権の選考レースには出ません」と明言している。もちろん、「生涯現役」を掲げる川内にとってはこのアジア大会や世界選手権はあくまでも通過点に過ぎないだろう。しかし、だからこそ「市民ランナー」が、アジアの頂点に君臨できることを証明してほしい。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2014/10/03 13:14
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