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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 混迷続くのフジ、次の一手は…
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第69回

「売れているものに乗らないスタンスに……」『新・週刊フジテレビ批評』に見る、フジテレビの自己改革

 視聴率が取れていた時代、フジには“黄金のラインナップ”ともいえるコンテンツがそろっていた。しかし、それは一方で、新人の出る幕がないことを意味していた。新しいことに挑戦する機会が損なわれていた状況の中で、フジは急速に視聴率を落としていった。そんな事態に追い込まれ、慌てて何か新しいことをやらねばとやったことが、小松氏の言葉を借りれば「マーケティングで番組を作る」ことだった。他局のヒット企画や他番組で活躍している人たち、それらを寄せ集めて番組を作っていった。

 が、それではうまくいくはずがない。その理由を、小松氏はキッパリと語っている。

「僕らフジテレビは、あんまりそれが上手じゃない。どちらかというと、自分が面白いと思うことを世の中に問うことによって生き永らえてきたテレビ局だから」

 前述の通り、90年代半ば、三冠王から陥落したフジは04年に一時的に復活した。その頃、小松氏が手がけていた番組が『笑う犬』シリーズと『トリビアの泉』だった。この2つの番組は、「一個もマーケティングからスタートしていない」と小松氏は胸を張る。

「一人の芸人が、どうしてもコントをやりたいっていうわがままから始まったのが『笑う犬』。『トリビアの泉』は、若いヤツらがこういうことが面白いと思うっていう発想からできた番組」

 その熱さにこそ、フジ復活のヒントが隠されているのではないか。小松氏は続けて言う。

「そういうところに立ち返って、自分たちが面白い、世に問えるものは何か真剣に考えてみようっていうのが今の状況」だと。

 今のフジの視聴率的な状況は、実は70年代に似ている。あの頃、フジは日テレ、TBSに遠く及ばず、視聴率3位の座から抜け出せなかった。しかし、その反骨精神が熱を起こし、「新しい」ものを作り続けた結果、「新しい」面白さを次々と発見し、フジに黄金時代をもたらしたのだ。今は確かに迷走しているかもしれない。けれど、それが助走ではないと、誰が言い切れるだろうか? 昔の“黄金時代”のフジテレビに戻ってほしいわけではない。僕らは、“新しい”フジテレビが見たいのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

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最終更新:2019/11/29 17:55
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