トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 伝説のホラー漫画家・日野日出志が作品を振り返り語る。『蔵六の奇病』秘話……他

伝説のホラー漫画家・日野日出志が作品を振り返り語る。『蔵六の奇病』秘話……他

hinohideshi_aa.jpg

 70年代にデビューし、「ガロ」や「COM」などで一世を風靡したホラーマンガ家・日野日出志。その叙情的かつオドロオドロしい画風が多くの人を引きつけ、カルト的な人気を誇るノイズバンド『非常階段 JOJO広重』をも魅了した。そんな彼が、今回手がけたのはソフト・オン・デマンドによる女性向け動画サイト「GIRL’S CH(ガールズシーエッチ)」で配信される女性向けエロスムービー『薔薇の迷宮』だ。

 これまで、作家の岩井志麻子や内田春菊、女優の広田レオナ、そして元オセロの中島知子など、一癖も二癖もある女性たちがメガホンを撮ってきたこのシリーズ。今回配信される日野氏の作品では、AV女優・友田彩也香を主演に、見る者を戦慄させるストーリーと、大人の女性が醸し出す耽美なエロスを味わうことができる。

 また、この配信に合わせて、古本市場ではプレミア価格で出回っている日野日出志の名作『蔵六の奇病』『地獄変』『地獄の子守唄』の3作をコミックムービーとして配信! 過去の名作と最新のエロス、まさに日野日出志ファンにはたまらない事態となっている!

「蔵六の奇病」
http://girls-ch.com/products/detail.php?product_id=5397

「地獄の子守唄」
http://girls-ch.com/products/detail.php?product_id=5464

「地獄変」
http://girls-ch.com/products/detail.php?product_id=5528

 いったい、なぜホラーマンガ家の世界とSODのエロスが融合したのだろうか? そして、気になるその内容とは? 編集を終えたばかりの本人を直撃した!

──日野さんといえば、数々の名作ホラーを生み出した伝説のマンガ家として知られていますね。今回の作品についてのお話を伺う前に、そもそも、どうしてホラーマンガを志したのでしょうか?

日野 元々のきっかけは映画でした。高校の頃に『切腹』(小林正樹監督)という映画を見て人生がひっくり返るくらいの衝撃を受け、見るのではなく、創る側に回りたいと感じたんです。それで、絵コンテを描いていたのですが、その様子を見ていた同級生がマンガを描きたいと思っていると勘違いして、マンガを貸してくれたんです。

 当時はまだ高価だったので、8ミリカメラも手に入らない時代でしたから、映画をつくるなんて夢のようなことでした。けれども、絵コンテを描くのではなくマンガを描くなら完成品を作れるんじゃないかと思ったんです。だから、映画を作る代償行為としてマンガを書き始めたんですね。

──今回、40年前の作品となる『蔵六の奇病』をはじめ『地獄の子守唄』『地獄変』の3作品が、コミックムービーとなって若いユーザーにも届くことになりました。この中でも特に思い入れのあるものはどの作品でしょうか?

日野 『蔵六の奇病』です。21歳でデビューし、22歳で「ガロ」で4本書いているんですが、当時はまだバイトをしながらマンガを描いていたんです。ガロの編集長からは「うちだけじゃなく小学館や集英社から仕事を貰わないと食っていけない」と言われていました。それで、本気で取り組まなければいけないと思い、1年間かけてつくったのがこの作品です。

──わずか40ページの作品に、1年もかかったんですか!?

日野 絵柄を変え、設定を変え、構図を変えながら自分が納得するまで何度も書きなおしています。これがダメならマンガは諦めようという気持ちだったんです。今考えるとクレイジーですが、これが「少年画報」に掲載されると、「サンデー」や「マガジン」からオファーが殺到したんですよ。

──そして、ホラーマンガ家の代名詞となっていったんですね。しかし、映画を原点に、マンガの執筆を始めたということは、やはり実写は待望の仕事だったのでしょうか?

日野 そうですね。ただ、実写を撮影するのは今回が初めてではありません。26年前に『ギニーピッグ』という作品を監督しているのですが、ある事件に巻き込まれてしまったんです……。

──「ある事件」というと?

12
ページ上部へ戻る

配給映画