“おまけ”スタートから15年――拝金主義に傾倒する企業ブースはコミケに必要なのか
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もちろん、これはコミケ限定品を作り、大勢の人を並ばせて話題に上がれば、企業にとってその場のグッズ収益だけではなく、絶大な宣伝効果をもたらすからにほかならない。このおいしい果実を見逃す手はないと、普段、二次創作やMADを厳しく取り締まっているメーカーですら、企業ブースでコミケに参加していたりするのだ。権利者として毅然とした態度を取るのであれば、著作権無視の二次創作があふれているコミケにまったく参加しないという態度を取るべきだろう。確かに50万人以上が集まるイベントで出展すれば儲かるし、行列ができれば話題にもなる。しかし、あくまでコミケの主役はアマチュアたちであり、プロ(企業)ではないのだ。
こうして俯瞰してみると、いまやコミケにおける企業ブースは新しい作品の宣伝の場というより、儲け主義に傾倒している感は正直否めない。ただ、コミケで二次創作の同人誌を売っていることを知りつつも、この業界がさらに盛り上がるようにとアマチュアたちを応援している企業が少なからず存在しているのも事実だ。
メーカーには、これからも素晴らしい作品を作ってもらいたい。その宣伝の場として、コミケに企業ブースがあるのもいいだろう。しかし、あまりに儲けに走りすぎていると、完全にコミケが企業やプロのビジネスイベントになってしまう。コミケほどの自主市は、世界で日本にしか存在しない。これは誇るべき文化である。これが単なる利潤追求の場となってしまうの、はあまりにもったいない。コミケには二次創作だけではなく、商業流通では絶対に作れないようなオリジナル作品を頒布しているサークルも多数存在する。アマチュアの活動場として、コミケはまだまだ可能性を秘めているのだ。企業ブースの在り方をここらへんであらためて見直してみてもよいのではないだろうか。
(文=織作亜樹良)
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