年間8本ペースで撮り続ける天才監督かく語りき。「ホン読みコンテなし。現場で奇跡の瞬間を収める」
#映画 #インタビュー
■女性はみんな、生まれついての女優
──ヒロインはグラビアやバラエティー番組で活躍する“小蜜”こと副島美咲。『−THE MOVIE 2』でダブルヒロインを務めるのはゾンビアイドルとして注目されている小明。2人とも女優としてのキャリアはさほどありませんが、城定作品ではうまくヒロイン役にハマってます。
城定 普段、僕はテレビを観ないんで、副島さんのことはあまり知らなかったんです。壇蜜さんに似てる人ぐらいの知識しかなかった(笑)。『−THE MOVIE 2』のゾンビ好きな女子高生はオリジナルのキャラなんですが、ゾンビ好きなアイドルなんていないだろうと思っていたら、プロデューサーが「ゾンビアイドルがいるぞ!」と日刊サイゾーで見つけてきたのが小明さん。小明さん、本人は年齢的に女子高生役は大丈夫かなとちょっと心配していましたが、全然平気でしたね。他のキャストと一緒でも違和感なかった。小明さんをキャスティングできたのは、日刊サイゾーのお陰ですね(笑)。女優陣は現場でまったく手が掛かりませんでした。副島さんも小明さんも芝居うまいですよ。ちゃんと自分のキャラクターを分かっている。
──城定作品のヒロインはグラビアアイドルやセクシー系タレントが務めることが多いわけですが、演出上の秘訣があるんですか?
城定 いや、特別なことはしてません。今回は2本同時で撮影5日間ですし、いつもスケジュール的に余裕がない。1本を2、3日で撮り終わらなくちゃいけないので、あまり難しい脚本は書けないし、そんなに作り込まなくてもいい役がほとんどなんです。でも、これまで撮ってきて、全然演技ができなかった女性キャストは僕の記憶にないですね。女性って生まれついての女優だってよく言いますけど、確かにそういう面はあるなと思いますよ(笑)。今回の女優陣は手が掛からなかったけど、逆に男性キャストに時間を取られたんです。主人公のサガミ役の中山龍也くんは僕の『ホームレスが中学生』を観ていてくれて『よかったです!』なんて言ってくれた。イケメンだけど嫌味がなくて爽やか。これから売れるんじゃないかな。中山くんは良かったけど、いちばん手が掛かったのは部長(鈴木淳)。「よしもと新喜劇」みたいな芝居をしてきたんです。漫画原作のコメディだからって、ふざけた芝居をすると今回はアウトなんです。そのへんのことを準備段階できちんと説明してなかったこっちも悪いんですが、現場で「一度、原作のことは忘れろ」と言った覚えがある(苦笑)。時として役者個人が作品全体の雰囲気を読み間違えてくる場合もあるので、その点は注意するようにしています。
──撮影日数が2日程度だと、クランイクイン前にキャストを集めての脚本の読み合わせやリハーサルをやることもない?
城定 衣装合わせがあるので、キャストには撮影前に一度は会います。脚本内容などに疑問があれば、そのときに聞くようにしています。でも脚本の読み合わせは僕は基本的にやりませんね。この仕事を始めた頃はやってたんです。ホン読みはやらなくちゃいけないものなんだろうと思ってましたから。でも、会議室みたいなところに集まって脚本を読んでいると、逆に不安になってくるんですよ。「この脚本、面白いのかな?」って気になってしまう。だいたい、自分が書いたものなんですけど(苦笑)。でも、役者が衣装を着て、現場に立つと見えてくるものがあるんです。いろいろと演出のアイデアが湧いてくる。だったら、ホン読みはしなくていいかなって。「脚本の読み合わせはムダ」と言ったら怒る監督もいるでしょうから、言いませんけど(笑)。多分、じっくり時間を掛けて作っていく映画の場合は、ホン読みからしっかりやっていくことが大事なんだと思います。リハーサルも特にはやりませんし、事前に絵コンテを準備することもないですね。事前にあまり決めすぎず、作り込まないほうが、現場で奇跡的な瞬間をカメラに収めることができる場合もあるのではと思うんです。まぁ、これは低予算短期撮影作品のひとつの方法論なので、一般的にはどうなんですね……。予算と時間が豊富にある作品はやったことがないので分かりません(笑)。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事