佐世保女子高生殺害事件は本当に第二の酒鬼薔薇事件なのか――2つの事件の関連性をひも解く
#凶悪犯罪の真相
そして、日本中を震撼させた土師淳くん殺害事件。
自宅の近くにある通称「タンク山」へと男児を誘い出し、淳くんの首を絞めて殺害。遺体を山に隠していた少年は、翌日、頭部切断の衝動に駆られる。金のこぎりで首を切断するとき、彼は射精をした。そして、血が流れ出すのを防ぐために敷いていたポリ袋に溜まった血を口に含んでいたのだ。
「僕の血は汚れているので、純粋な子どもの血で清めたかった。幼い子供の命を奪って気持ちいいと感じている自分自身への嫌悪感があった」(『暗い森』)
そして、頭部の入った黒いポリ袋を近くの池の畔に隠し、死体の朽ちてゆく経過を観察したいと思っていたものの、翌日に頭部を見てみると、なんの変化もなかった。遺体への興味を失った少年は、この首を捨てる代わりに人目に晒すことを思いつく。5月27日深夜、家族が起き出してこないよう窓からそっと部屋を抜けだすと、少年は自転車で友が丘中学校へと向かった……。
佐世保事件の加害者少女もまた、いじめや放火などを行っていた神戸の少年と同様に、小学校時代から給食に洗剤を混ぜたり、小動物を解剖するなどの行動を起こしていた。また、少年は作文に「ぼくもお母さんがいなかったらな」と記しており、親との確執をうかがわせていたが、佐世保女子生徒は父親に対して金属バットで殴りつけ、頭蓋骨陥没させる事件を起こしている。このほかにも、事件の少し前に愛する肉親を失ったことなど、その人物像には確かに類似する点は少なくない。佐世保の少女の動機についてはいまだ明らかにされていない点は多いが、精神科医の町沢静夫氏は、産経新聞の取材に対して「『性的サディズム』の傾向がある」(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140812/waf14081207000001-n1.htm)と分析し、パリ人肉事件の佐川一政は、「『遺体をバラバラにしてみたかった』という供述に、同性愛的な愛情を強く感じます。『なぜ親友を解体できるのか』ではなく『親友だからこそ解体したかった』と解釈すべきなのです」(週刊ポスト8月15・22日号)とコメントするなど、性的な欲望に注目する声は少なくない。
佐世保事件の少女は、11月まで3カ月間精神鑑定のため医療施設に送られ、責任能力の有無を調査されている。彼女は第二の酒鬼薔薇聖斗なのだろうか? それとも、まったく別の種類の殺人者なのか? 事件の全容が解明されるためには、まだ多くの時間が費やされるだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
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