佐世保女子高生殺害事件は本当に第二の酒鬼薔薇事件なのか――2つの事件の関連性をひも解く
#凶悪犯罪の真相
今年7月に長崎県佐世保市で発生した「佐世保女子高生殺害事件」は、15歳の少女が同級生を殺害し、その遺体から首と左手首を切断するという猟奇的な事件だった。容疑者の女子高生は「人を殺して解体してみたかった」と供述し、高校生ながら佐世保市内で一人暮らしを送っていること、父親が地元でも有名な弁護士であることなどの生活環境も含めて、新聞、テレビ、週刊誌などで大きく報道されている。この事件を受けて思い出されるのが、今回と同様の未成年者による遺体損壊事件である「酒鬼薔薇聖斗事件(神戸連続児童殺傷事件)」だ。すでに一部からは、この事件との類似を指摘する声が上がっている。
では、いったい酒鬼薔薇事件とはどのような事件だったのだろうか?
事件から17年の歳月を経た今でも、いまだに日本社会に暗い影を落としている酒鬼薔薇事件。その舞台となったのは、神戸市須磨区のニュータウンだった。このニュータウンでは、1997年2月に小学生の女児2人がハンマーで殴られひとりが重傷、3月に小学4年生の山下彩花さんがハンマーで殴られ死亡、同じ日に別の小学生がナイフで刺され重傷を負うなど、不穏な事件が頻発していた。ただし、これらの連続性を指摘する声は少なく、その報道もまだ小さなものだった。
そして、同年5月27日、友が丘中学校の正門前で、3日前から行方不明になっていた男児・土師淳くんの首が発見される。その口には、「酒鬼薔薇聖斗」と名乗る人物からの犯行声明文がくわえさせられていた。
さあゲームの始まりです
愚鈍な警察諸君
ボクを止めてみたまえ
ボクは殺しが愉快でたまらない
人の死が見たくて見たくてしょうがない
汚い野菜共には死の制裁を
積年の大怨に流血の裁きを
SHOOLL KILLER
学校殺死の酒鬼薔薇
この前代未聞の遺体損壊事件が発覚すると、全国に報道され、瞬く間に国民的な注目を浴びた。テレビ、新聞、週刊誌などでは日夜報道合戦が繰り広げられ、「30代のポリ袋を持った男」「中国人による犯行」など、奇怪な犯行声明からの推測や目撃証言などでさまざまな犯人像が語られていく。そして、この事件の結末は、事件の発生と同じかそれ以上に再び人々を震撼させた。事件から1カ月後の6月28日、兵庫県警が逮捕したのは、当時まだ14歳の少年だったのだ。
思春期の入り口に立ったばかりの少年は、いったい、なぜこんな凄惨な事件を引き起こしてしまったのだろうか?
少年は小学生の頃から、いじめや万引き、放火をし、さらに動物虐待を繰り返していた。家族の目を盗み、自宅の庭や車庫の陰で猫を殺しては解剖を重ねていく……。それによって得られる快感は性的な興奮であり、猫を殺しながら少年は初めて射精を経験した。そして、そんな自分のアブノーマルな精神構造に耐えかねたのか、彼は「酒鬼薔薇聖斗」という人格を生み出した。さらに、夢に現れた「バモイドオキ神」を信仰し、その暴力性はますますエスカレート。その終着点は、男児の首を切断し、自身が通っていた中学校の正門前に置くというものだった。
逮捕後、次々と驚愕の事実が発覚する。2月に引き起こした「第一の事件」を振り返り、彼はこう供述した。
「僕の心の中にあった理性とか良心といったものの大半を、そこに落としてしまった。僕自身、越えられるはずがないと思っていた一線を、気がついたら越えていた」(『暗い森』朝日新聞大阪社会部編集・朝日新聞社)
理性や良心を落としてしまった14歳の少年は、内なる神・バモイドオキ神への信仰として、「聖なる実験」に着手。「人間の壊れやすさを確かめるため」に、2人の女児をハンマーとナイフで襲撃したのだ。事件後、彼は「実験ノート」に「バモイドオキ神」に対する感謝の言葉を捧げている。
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