『るろ剣』『花子とアン』の美少女が問題作に主演『人狼ゲーム ビーストサイド』で驚愕の大変身!
#映画 #インタビュー #土屋太鳳
──前作『人狼ゲーム』(13)に続いてメガホンを取った熊坂出監督から、ヒントは提示された?
土屋 さらけ出す、むき出す、自由、という3つの言葉をヒントとしてもらったんです。でも、本当の意味での自由って何だろうって余計に悩みました(笑)。本当の自分をさらけ出すって、魂を削ってまで自分を追い込んでいかないとできないことなんだなって今回やってみて実感しましたね。
──殺人ゲームに従うかどうかは別にして、生きること死ぬことを自分自身に置き換えて考えさせる内容ですね。
土屋 日常生活をものすごく、ギューッと凝縮した世界なんじゃないかと思うんです。由佳たちのいる空間は一見すると極端な世界に見えますが、私たちのいる学校や会社にも通じるものがあると思うんです。由佳たちは何もわからないまま突然セミナーハウスみたいな場所に集められてゲームを強要させられ、ゲーム内容を理解できようが理解できまいが一方的にゲームが進行してしまう。ゲームが進む中で、自分自身を失ってしまう……。あって欲しくないんですけど、学校や会社といった環境が自分の性格に合わずに人間性が壊れてしまうことってあると思うんです。私、うまく言葉で説明できないんですが、この作品を観た方たちが何かを考えるきっかけになればいいなって。
──俳優はよく「自分の中にある引き出しを開ける」っていいますけど、自分の中にある人狼の引き出しを開けるのは怖くありませんでしたか?
土屋 う~ん、実は撮影中のことはよく覚えていないんです。OKの声が掛かって、「あれ、終わったんだ」みたいな感じだったんです。もちろん演じるという意識はあるんです。「よ~いスタート」が掛かった瞬間に目を閉じて、目を開けたらもう自分は由佳なんだと思い込むようにしていました。心をなるべくフラットにするように心掛けて。目を一度閉じて、こうやってキッと睨むとキツそうな顔に見えるんですよね(笑)。後は普段の自分とはなるべく異なるようにしようと思い、ビンボー揺すりをずっとしていました。普段、私はビンボー揺すりしないので、他のキャストの様子を観察していたんですが、男子ってみんなすごくビンボー揺すりするんですね。今まで気がつかなかった(笑)。役づくりしていると、普段は気がつかないことがいろいろと見えてきますね。
──なるほど、普段の自分とは違うキャラクターになるように努めたと。
土屋 はい。でもその分、なるべく普段の自分を大切にしようとも思いました。撮影の本番じゃないときは、他のキャストのみんなと一緒に仲良くご飯を食べたり、お話するように心掛けました。シリアスな内容だったので、キャスト同士での連帯感も強まりましたし、スタッフが美味しいご飯を用意してくれたり、明るい言葉を掛けながらメイクしてくれるのも有り難いなって思いました。あっ、でも撮影中は家族には電話できませんでしたね。電話したら「もう、嫌だ~」って泣き出してしまいそうで(笑)。撮休が1日だけあったので、自宅に一度戻ったんですね。姉に久しぶりに会ったら、やっぱり泣いてしまいました。
──合宿スタイルでの5日間の撮影だったそうですが、過酷な体験だったようですね。村人役の美海(森川葵)と対峙するクライマックスは、本気で涙を流しているように思えました。
土屋 あのシーンは本当に辛かった……。私は人狼役だから絶対に泣いちゃダメだと自分に言い聞かせて臨んだシーンだったんです。でも、必死で泣くのを抑えようとしても、あのシーンは堪え切れませんでしたね。「泣くのは由佳らしくないな」と思って、熊坂監督にお願いして、もう一度撮り直していただいたんです。先日、みんなで初号試写を観たんですが、泣いている最初のテイクが使われていました。それを観て、「あっ、泣いている由佳も本当の由佳なんだな」って理解できたんです。「ひとりで生きていける」と強がっている由佳だけど、本当は人が好きで、友達を欲しがっている女の子なんだなって。自分ひとりで考えているときにはわからなかったことが、作品を通して観ることで理解できたように思います。
──フィクションであるはずの由佳と素の土屋さんが融合した不思議なシーンに仕上がっていましたね。由佳役になることに苦闘している土屋さんが由佳役と一体化するまでのドキュメンタリーを観ているかのような気分でした。
土屋 多分、キャストのみんなそれぞれが大変だった作品だと思うんです。久々にみんなで集まって初号試写を観たときに、「このキャストとスタッフだから、最後まで頑張れたんだな」と思えましたね。今までにやったことのない役で悩みましたけど、自分にとって大事な体験になったように思うんです。自分らしさって何だろう? 本当に生きている実感ってどこにあるんだろう? そんなことをご覧になっていただいた方に感じてもらえればいいなって思っているんです。
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