トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 身に覚えのある男はスクリーンを直視できない!? “虚構”が“現実”を侵蝕する恐怖ドラマ『喰女』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.284

身に覚えのある男はスクリーンを直視できない!? “虚構”が“現実”を侵蝕する恐怖ドラマ『喰女』

kuime_movie03.jpg美雪とお岩の2役を演じた柴咲コウ。ホラー映画というジャンルには収まらない、きれいごとでは済まない男と女のドラマとして演じてみせた。

 都市伝説的に言い伝えられるお岩さんの祟りの背景には、長い長い封建制度の中で虐げられてきた女性たちの恨みつらみが積み重なっている歴史があり、そのことが男により恐怖を感じさせる。さらに女性には、妊娠&出産という男には絶対できないことをやってみせる強靭な体力と精神力がある。どうしたって、男には勝ち目はないのだ。ただただ、涙目状態で『喰女』の二転三転するクライマックスと美雪と浩介の舞台の行方を見守るしかない。

 浩介と浮気相手の莉緒は情事の後のベッドで、こんな会話を囁き合う。

莉緒「伊右衛門はどうすれば幸せになれたのかな?」
浩介「伊右衛門は幸せになんかなれないよ」

 同性の肩を持つわけではないが、観ているうちに浩介/伊右衛門が次第に哀れに感じられてくる。男と女のゲームに勝ち目がないことを知っていながら、ゲームにエントリーしてみせた浩介。彼にできることは、愛情の裏返しである怨念の洪水を全身に浴びることだけだった。
(文=長野辰次)

kuime_movie04.jpg

『喰女−クイメ−』
企画/市川海老蔵、中沢敏明 原作・脚本/山岸きくみ『誰にもあげない』(幻冬舎文庫) 監督/三池崇史 出演/市川海老蔵、柴咲コウ、中西美帆、マイコ、根岸季衣、勝野洋、古谷一行、伊藤英明 配給/東映 PG12 8月23日(土)より全国ロードショー (c)2014「喰女−クイメ−」製作委員会
http://www.kuime.jp

最終更新:2016/02/03 19:08
123
ページ上部へ戻る

配給映画