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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 鈴木奈々はただのバカじゃない
週刊!タレント解体新書 第9回

鈴木奈々は生きることを肯定する 日テレ『ナカイの窓 ムダに明るい人達SP』(8月13日放送)を徹底検証!

51f13Uy4jTL.jpg『一所懸命』(竹書房)

 おバカタレントというジャンルがある。言葉としての定義をするなら、突飛な言動や一般常識のなさを披露することで視聴者を笑わせるタレント、といったところだろうか。かつてヘキサゴンファミリーが席巻していたこのジャンルにおいて、2014年現在トップを走っているのが鈴木奈々だ。2011年3月に小森純の妹分として『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)でテレビ初出演を果たすと、そのキャラクターは一躍話題を呼び、現在に至るまで快進撃は続いている。

 もちろん鈴木奈々以外にも、おバカタレントと呼ばれるタレントは存在している。だが彼女が特殊なのは、視聴者をなぜか元気にさせてしまうという不思議な魅力だ。こういう娘が親戚にいたら楽しいだろうなあ、と思わせてしまう、あの感じ。ほかのおバカタレントが持ち得ない鈴木奈々のその魅力は、一体何に由来するものなのか?

 8月13日に放送された『ナカイの窓 ムダに明るい人達SP』(同)に、その答えの一端が見えた。この日の放送にはゲストとして鈴木奈々のほかに、岡田圭右(ますだおかだ)、かねきよ勝則(新宿カウボーイ)、金田朋子、そしてルー大柴が出演。この蒼々たる「ムダに明るい人達」の中で鈴木奈々が見せた3つの魅力を、ここで紹介したい。彼女は一体なぜ、視聴者を元気にすることができるのだろうか?

<その1 鈴木奈々は一所懸命である>

 ムダに明るいことで得をしたことはあるかと質問された鈴木奈々は、大物の人に何を言っても許される、と語る。その際に披露したエピソードが、「自民党の石破幹事長に『旦那の夜が雑』という相談をしても怒られなかった」というものだった。余談ながら石破幹事長の答えは「お互いの努力が必要」というものだったらしいのだが、それはさておき。

 このエピソード自体が実に鈴木奈々らしくて微笑ましいわけだが、注目すべきはそのエピソードへの入り方だ。彼女は石破幹事長という名前を出す際、「石破幹事長……知ってますか?」と前置きしてから話を始めたのである。確かに「そりゃ知ってるよ」ということではあるのだが、それは石破幹事長を知っている我々だからできるツッコミである。鈴木奈々はそのツッコミを恐れるよりも前に、石破幹事長を知らない人がいるかもしれない、という前提で話す。ここに鈴木奈々の、自分の話をちゃんと聞いてほしい、理解してほしいという、一所懸命さがある。

 実際、視聴者の中には石破幹事長を知らない人物も、その数は少ないかもしれないがおそらくいるだろう。鈴木奈々はそういった視聴者にも自分の話を届けるべく、一所懸命に言葉を選んでいる。その一所懸命さは彼女の言動すべてに通じる根本的な部分であり、それを感じ取ることによって、視聴者は彼女から元気を与えられるのだ。

<その2 鈴木奈々は常に鈴木奈々である>

 <その1>とは逆に、ムダに明るいことで損をしたエピソードである。自身のキャラクターのせいでよく絡まれるという鈴木奈々は、しばしば「変なことやって」と無茶ぶりをされると語る。確かに、そういったことも多いだろう。気の毒な話である。それを聞いた中居正広は「そういうときどうするの?」と尋ねる。そして、鈴木奈々は答える。「そういう時は、ダンスとかします」と。答えちゃうのだ、無茶ぶりに、鈴木奈々は。「変なこと」をやってしまうのである。

 この話は、間違いなく捏造ではないだろう。「ダンスとかします」という答えは急には出てこない。実際にダンスをしているのだ、鈴木奈々は。変なダンスをする鈴木奈々の姿も完全に目に浮かぶ。そしてそれは、テレビカメラが回っていようが回っていまいが、誰が見ていようが見ていまいが、鈴木奈々は常に鈴木奈々として生きているということを証明している。

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