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朝日新聞「慰安婦虚報」を糾弾する週刊誌に疑問符 日本人は本当に“被害者”なのか――

 朝日新聞は8月5日の朝刊で「慰安婦問題 どう伝えたか」と題する検証記事を組んだ。その中で、韓国・朝鮮の女性を強制的に慰安婦に徴用したと話した吉田清治氏(故人)の証言について「虚偽だ」と判断し、記事を取り消す、当時は虚偽の証言を見抜けなかったとした朝日新聞の記事が大きな話題を呼んでいる。

 これまでもポストは、従軍慰安婦に対する軍の「強制性」があったことを否定しており、ここぞとばかり舌鋒鋭く切り込んでいる。

「多くの左派言論人や反戦活動家が『慰安婦が苦しんだのは事実だから、強制連行がなかったとしても問題の本質は変わらない』と話をすり替えていることだ。これは決定的に間違っている。なぜなら、世界で日本が『特殊な性犯罪国家』と非難され続けてきた理由は『強制連行』の一点だからだ。(中略)米軍はじめ世界中の軍隊が『強制連行ではない慰安婦』を雇っていたのであり、『女性たちが苦しんだ』ことは日本だけが非難される問題ではない」(ポスト)

 さらに「朝日新聞は検証記事で吉田証言の記事は取り消したが、植村記事については『事実のねじ曲げはなかった』と強弁した。それは、韓国の反日団体、日本の“人権派弁護士”と連携して『強制連行』を国際社会に浸透させ、日本政府からカネを巻き上げる片棒を担いだという疑惑こそ、朝日が絶対認めたくない慰安婦報道の急所だからではないのか」(同)

 ポストは

「朝日の虚報によって日本国民は冤罪の犠牲者になり、国際社会に慰安婦=性奴隷説が定着していく。06年には米国議会調査局が『日本軍の慰安婦システム』と題するレポートを発表。吉田氏の証言が引用され、翌年には米下院で日本政府に対する慰安婦への謝罪要求決議が成立した」

と、朝日新聞のでたらめな報道で日本人全体が辱められたと憤る。

 西岡力基督教大学教授もこう言う。

「朝日が報じたような事実はなく、慰安所では外出の自由もあった。朝日が吉田証言を完全に否定した以上、日本だけが国際社会から性奴隷国家だと批判される理由は全くないといえます」

 海外メディアがこの朝日新聞の検証記事を報じないことや、安倍政権の河野談話を見直ししないという姿勢も、こう批判する。

「国内では朝日を批判しながら、国際的には朝日の虚構から組み立てられた河野談話を踏襲するダブルスタンダードでは、世界に広がった『性奴隷』のイメージを払拭できるはずがない」

 現代もポストほどではないが、こう書いている。

「度重なる誤報にきちんと向き合わず、訂正を行わなかった朝日の怠慢は、韓国の反日感情を高めた挙句、謂われなき日本叩きのための『武器』まで与えてしまったのである。朝日の誤報以降、日韓の歴史が歪められたとも言える」

 まるで日韓関係の悪化は朝日の従軍慰安婦報道にだけあるかのような言い方ではないか。朝日新聞・植村隆元記者の数本の従軍慰安婦についての記事が誤りだったとしても、日韓併合や植民地時代の苛烈な支配、原爆症で苦しむ朝鮮人被爆者や慰安婦たちの苦しみを、この誤報で帳消しにはできない。

 8月6日付の朝日新聞で、父も祖父も太平洋戦争中に強制収容された日系人、米ジョージ・ワシントン大学教授のマイク・モチヅキ氏がこう語っている。

「多くの日本人がもう『もう十分だ。未来志向で行こう』と言うが、それを言うのは被害者の側であって、日本人はまず『私たちは忘れない。過ちを繰り返さない』と言い続けるべきだ」

 NHK BS1スペシャル『オリバー・ストーンと語る 原爆×戦争×アメリカ』でも、オリバー・ストーン監督がおおむねこう語っている。

「記憶こそが我々を人間たらしめる『よすが』なのだ。自分が何を為したのかの記憶なくして人は後悔したり罪の意識を抱くことはない。歴史家が記憶を残すのはそれを忘れないためなのだ」

 朝日新聞が誤報を認めたからといって、日本がアジアでした行為を抹消することはできない。原爆を落とされても、核の平和利用だと言われれば数多の原子力発電所を作り、あれほどのことをされたアメリカを憎まず、植民地のように付き従う日本という国は、世界から見れば理解しがたい人間の塊のように見えているのではないか。

 自分たちの父祖がやったことを忘れず、それについて考え続けることこそ、今の日本人に最も必要であること、言うまでもない。
(文=元木昌彦)

最終更新:2016/02/03 19:53
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