“本当は怖い”博多大吉の愛のムチ 『333トリオさん』の芸人ドリル
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さらに、《今日って、4月1日ですよね》という回答には「エイプリルフールでまだ笑い取れると? エイプリルフールで笑い話やってるのって、ホント『ちびまる子ちゃん』と『サザエさん』、この2番組だけですから」とメッタ斬り。「でも、2つとも面白い番組ですよ」と反論されても「出てないでしょ? あなた。(まる子やカツオの)同級生じゃないでしょ?」と、ぐうの音も出せない言葉を返すのだった。
「もうやめてもらっていいですか……?」と意気消沈した若手芸人に、大吉はきっぱりと言う。
「やめません!」
大吉が語るのは、ダメ出しばかりではない。「僕の経験上、『小銭』とかの単語は大喜利で受けやすい」と経験に裏付けられた具体的なアドバイスもしっかりする。「硬貨」よりも「小銭」のほうがウケやすいのだという。「初歩中の初歩」の連想から導き出された回答には、「すぐ思いついたやつは一回消せばいいんです、大喜利っていうのは」と語る。
そして、それは大喜利のテクニックにとどまらない。たとえば、最初の「占い」に関するお題。これに対してまず注意を促したのは、信じている人もたくさんいるから、言葉のチョイスに気をつけないと反感を買ってしまうということだ。つまり、「けなしやすいモノほど、けなしてはいけない」と。これは大喜利だけでなく、芸人としてのスタンスにも通じるものだ。
実際に、その後のお題に対して「ブス」をけなしている回答があった。
「ちょっと毒舌というか、本音でしゃべるほうがいいのかなみたいな感じで書いてしまったのかな?」と、回答者の気持ちを代弁した上で、大吉はバッサリと切り捨てた。
「『本音を出す』ということの意味を履き違えてる!」
けなしやすいモノをけなして、無頼の芸人を気取るのは簡単かもしれない。けれど、今の時代、そんなことをすればすぐに批判の的にされてしまう。本当にその覚悟があるのならいいだろう。けれど、大半は覚悟も矜持もないまま格好を真似ているだけだ。大吉は柔和な笑顔に毒と本音を巧妙にまぶしながら、大喜利を通じて、今のテレビで芸人が生きる道を教えている。大吉の「大喜利ドリル」は、いわば「芸人ドリル」なのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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