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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ビニールハウス生まれの競泳選手
アスリート列伝 第17回

「変化よりも進化」ビニールハウスが生んだ常識外れの天才、競泳五輪メダリスト・松田丈志

「振り返ってみれば、足りないものがあったおかげで、常に工夫できることはないかと考えるくせがついていました。競り合う選手がいなかったので、いつも自分自身と向き合っていました。そのおかげで自分の心と身体の状態を知るための感覚を研ぎ澄ませられたと思います」(同)

 ロンドン五輪では、北島康介を「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」とコメントし、流行語大賞にもノミネートされた松田。しかし、個人としては、またしても0.25秒差の銅メダルで涙をのむこととなる。すでに松田の年齢は28歳。引退がウワサされるも、「常識外れ」の男は現役続行を表明した。

 13年からは一度久世の元を離れて、北島康介を育て上げた平井伯昌コーチのもとで再出発し、新たな練習方法を獲得。2014年には久世コーチと再タッグを組み「ロンドン五輪以上の最高の泳ぎができるよう精進していく」と決意しながら、再び金メダルへの目標を高らかに掲げた。

 瀬戸大也、萩野公介などの若手が台頭する中、松田にとっては、次回の五輪出場すらも簡単なことではない。6月に行われたジャパン・オープンこそ4位に終わったものの、肺炎の病み上がり後に挑んだ東京都実業団水泳競技大会では優勝を飾り、その実力を見せつけることができた。21日から行われる第12回パンパシフィック大会でも、活躍が期待されている。

 ビニールハウスプールが生んだヒーローは今年で30歳。2年後のリオ五輪に向け、彼の常識外れな戦いは、まだ始まったばかりだ。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2016/02/03 19:50
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