トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 養成所ビジネスに刺客
織作亜樹良の「アニメ・クローズアップ!」

「養成所ビジネス」の打破なるか!? ホリエモンが仕掛ける、新たなアニメプロジェクトに注目!

horie_dammy0809.jpg

 今月発売されたオーディション専門雑誌「月刊デ☆ビュー」(オリコン・エンタテインメント)の2014年9月号では、「“声優大国ニッポン”でチャンスをつかめ!『声優』より素敵な職業はない!」と題し、声優オーディション特集が組まれている。最近ではアニメが若い世代を中心に市民権を得てきたこともあり、その花型とも言うべき声優は、若い子たちにとって憧れの職業となりつつあるのだ。中には、現役アイドル以上にアイドル視されている若手声優も少なくない。そのため現在では、アイドルになりたいと思っている子たちさえ、声優になることを視野に入れていたりする。

 さて、そんな声優ブームに湧いている昨今であるが、実際どのくらいの人たちが声優として食べていけるのだろう。これについては以前、人気声優の浪川大輔がテレビバラエティに出演した際に少し語ったことがある。浪川によると、日本全国で声優だけで生活が成り立っているのは300人程度。声優事務所に所属、もしくは預かりとして登録されている声優は約1万人。そして、声優を目指し専門学校や養成所などに通っている人は、なんと30万人近くもいるらしい。声優業界はなんとも厳しい世界のようだ。しかし、食っていけるか否かは別として、最近ではこれだけ深夜アニメやボイス付きのゲームが増えたのにもかかわらず、毎回同じような声優ばかりが出演し、新人が起用されることはあまりないのはなぜなのだろうか? 無名でも、演技力のある声優はたくさんいるはずだ。平等にオーディションが行われれば、毎回同じ人たちがキャスティングされるということは、なかなか起きないのではないか。これはつまり、オーディションの場は公平に開かれていないということである。某事務所関係者は以下のように明かす。

「アニメやゲームに出演するためには当然、その作品のオーディションを受けなければいけませんが、主要な作品のオーディションは大手事務所にしか入ってこないんです。小さい事務所だとアニメのオーディション自体がなかったりするところもありますし、ましてや個人で活動していたら、よっぽどのコネや経歴がない限り、そういったオーディションを受けることはできません」
 
 アニメ業界で活躍するためには、アニメ声優を排出している声優事務所に所属しなければならない。しかし、前述したオーディション雑誌などのような一般公募で所属になれるのは稀であり、事務所所属になるためには、その事務所が持っている養成所に通うのが基本となる。人気声優が多数所属している大手事務所は、それだけたくさんのオーディションを受けられることがわかるため、多くの養成所生を集めるが、もちろんアニメデビューできるのはほんの一握り。大半の生徒はアニメ出演どころか、事務所所属になることすらできずに終わる。しかし、それしかデビューへの道がないので、また別の養成所を探すことになるのだ。つまり、声優を目指している人たちは別に演技の指導を受けたくて養成所に通っているのではなく、あくまでデビューのきっかけやチャンスをつかむために時間とお金を注ぎ込んでいると言っても過言ではない。そして、晴れて養成所から事務所所属や預りになったところで、今度は事務所内でのふるいが待っている。というのも、個々の事務所に対してオーディションを受けられる人数が決まっているからだ。

 こうなってくると、必ずしも本人の努力や実力だけではなく、たまたま力を持っているマネジャーに気に入られたとか、事務所が推していきたい方向性と偶然合致したとか、そういった運にも左右されるわけだ。このように新人がアニメのオーディションを受けること自体がとても難しいので、結局は一度ブレークした上位人気の声優だけでぐるぐると回している感じになってしまう。声優ブームとは裏腹に、実際の業界内は極めて硬直した形となっている。これでは単に養成所が「アニメに出たい」という若者の夢を餌に儲けているだけという構図にも見えなくもない。

 しかし、そういった業界の常識を打ち破る新しい企画が現在進行中だ。それはホリエモンこと堀江貴文とオタキングこと岡田斗司夫が考えている、クラウドファンディングを利用したアニメ制作プロジェクトである。堀江と岡田の共著『ホリエモンとオタキングが、カネに執着するおまえの生き方を変えてやる!』(徳間書店)によると、このプロジェクトはこれまでのアニメ制作と違い、アニメのことを好きな人がみんなでお金を出し合ってアニメを作っていく形を取っていくとのことだ。そして、それはただアニメ好きの人からお金を集めるだけではなく、さまざまな特典や制作に直接関わることができる仕組みになっているらしい。

12
ページ上部へ戻る

配給映画