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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.282

他人の不幸は蜜の味? 大富豪ファミリーの転落記 目撃ドキュンUSA『クイーン・オブ・ベルサイユ』

qov03.jpg家政婦を解雇しため、子どもの世話に忙殺されるジャッキー。家計は大変だが、自宅のローンが払えずにいる高校時代の親友も見捨てることができない。

「サンダンス映画祭のオープニングナイトで、3000人の観客の前でプレミアを行ないました。ロバート・レッドフォードが映画を紹介し、ジャッキーがレッドカーペットを歩き、観客の間に座りました。今まで経験したことがないような興奮でした。(中略)デヴィッドは映画祭の晩、私たちとサンダンス映画祭を名誉棄損で訴えました。彼自身が言った言葉なのですが、この物語が『大金持ちの転落物語』だと報道をされたことに基づき、訴訟を起こしたのです。私たちは訴訟に勝ち、弁護士費用として75万ドルを勝ち取りました。判事はこの映画内の発言はすべて真実だと判断しましたし、実際すべて真実なのです。デヴィッドによると訴訟を起こした理由は、映画の最後で彼の人生においてとてもつらい一章である、ラスベガスタワーを失う自分の姿が映っていることが、気に入らなかったからだそうです。マスコミはこの訴訟をバカげたものだと考え、そのように報道しました。マスコミや他の映画製作者は、最終的に私たちが裁判に勝ったこと、そしてこれが表現の自由の圧倒的な勝利でもあることを、とても喜んでいると思います」

 アメリカンドリームの顛末に裁判騒ぎ。こんなにも現代社会を丸ごと捉えてみせた映画はそうそうないだろう。消費社会というお花畑から集めた蜜の味は、とてつもなく甘い。
(文=長野辰次)

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『クイーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』
監督/ローレン・グリーンフィールド 出演/デヴィッド&ジャッキー・シーゲル一家ほか 配給/スターサンズ 8月16日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
(c)2012 Queen of Versailles. ALL rights reserved.
http://www.queen-cinema.jp

最終更新:2014/08/08 16:00
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