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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.281

記憶をめぐる“内なる冒険”の果てに見たものは? 夭折した父との再会と自己の再生『ぼくを探しに』

bokuwosagashini03.jpg『失われた時を求めて』のプルーストは紅茶に入ったマドレーヌで覚醒したように、ポールは奇妙なハーブティーとマドレーヌで時間旅行に旅立つ。

 内なる冒険へと繰り出したポールだが、物語の終盤では不思議なハーブティーを淹れてくれたマダム・プルーストは姿を消してしまう。脱法ハーブや幻覚キノコを所持していることが世間にバレてしまったためだ。だが、ポールはもうハーブティーの力を借りなくても平気だった。亡くなった父親と心ゆくまで語り合う別の手段を見つけたからだ。タイムマシンを発明するわけでもなく、宇宙人の助けを借りるわけでもなく、どうやって生きたまま亡父と対話することができるのか? これは決してショメ監督だけの突飛なアイデアではなく、ポールと似たような体験をした人ならば誰もが思い付く、とても理にかなった方法である。他の人よりちょっと長めだったポールの少年期は、ようやく終わりを迎えようとしていた。そして、新しい冒険がここから始まる。
(文=長野辰次)

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『ぼくを探しに』
監督・脚本・音楽/シルヴァン・ショメ 出演/ギョーム・グイ、アンヌ・ル・ニ、ベルナデット・ラフォン、エレーヌ・ヴァンサン、ルイス・レゴ、ファニー・トゥーロン、キー・カイング、ジャン・クロード・ドレフュス、ヴィンセント・デナード、シリル・コートン 配給/トランスフォーマー 8月2日(土)より渋谷シネマライズ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー 
(c) 2013 EUROWIDE FILM PRODUCTION-PATHE PRODUCTION FRANCE 3 CINEMA-APPALOOSA
http://bokuwosagashini.com

最終更新:2014/07/31 21:00
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