染谷将太×黒川芽以×永瀬正敏! ヤンキー姉弟と父の、血をめぐる葛藤『ドライブイン蒲生』
#映画 #邦画
そして、本作の話題となっているのが、これまで清純派女優のイメージが強かった黒川芽以の役柄。トレードマークとなっていた黒髪を、ほとんど金色に近い茶髪にし、清純派としては考えられなかったようなヤンキー・沙紀役を自然体のままに演じる。さらに、かなりの「あばずれ」という設定だ。
「私が演じた『蒲生沙紀』という役はやさぐれている性格で、本当の私とは真逆の性格です。ただ、私は学生時代には文化祭実行員をやるようなマジメちゃんタイプだったんですが、屋上に上がって悪いことをたくらんでいるような同級生に「やめなよ!」とか言いつつ、実は密かに憧れを抱いていたんです(笑)」
(LOAD SHOW/http://culture.loadshow.jp/interview/eiga-watashi-mei-kurokawa/)
とインタビューで語っていることからもわかる通り、「あばずれ」という役柄も、楽しんでこなしていた様子。
父親に対する反発から不良になった少女は、父の死後、その面影を追うように、同じ模様の刺青を肌に刻む。痛みに耐えながら漏らす吐息が、エロティシズムすら感じさせているのだが、彼女は決して、死んだ父を赦したわけではない。まるで自らに蒲生家の呪いを課していくかのように、父が生前に愛用していたアイスピックを自らの肌に刻んでいった。
物語の終盤で、染谷演じる弟・トシは、まだ幼い姉の娘に対してこう語る。
「どっかに行く途中に、おいしいもので引き止めちゃいけないでしょ? だから、ドライブインの料理はまずいんだ」
ドライブインは、どこかに行く途中の寄り道であり、客はそこに逗まり続けることはない。けれども、蒲生家の人々は、常にそこに逗まりながら、まずい料理を提供し続けていく。ヤクザ崩れの父、ヤンキー崩れの姉弟、バカと罵られる蒲生家の人々……。地元志向のマイルドヤンキーは日常を肯定しながら毎日を過ごしているが、蒲生家の姉弟はドライブインに閉じ込められながらも、その塞感を打破するためにある行動を開始する。それは、この小さな物語に相応しいささやかな行動だが、そこには大きな希望が描かれているのだ。
『ドライブイン蒲生』
監督/たむらまさき 出演/染谷将太、黒川芽以、永瀬正敏、小林ユウキチ、猫田直、平澤宏々路、鈴木晋介、足立智充 配給/コピアポア・フィルム 8月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
(c)2014 伊藤たかみ/キングレコード株式会社
http://drive-in-gamo.com/
≪お詫び≫
7月18日発売「サイゾー」8月号12ページ『ドライブイン蒲生』のページの題字部分で、人物名に誤字がございました。
黒川芽衣→黒川芽以
謹んでお詫び申し上げます。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事