染谷将太×黒川芽以×永瀬正敏! ヤンキー姉弟と父の、血をめぐる葛藤『ドライブイン蒲生』
#映画 #邦画
「マイルドヤンキー」という言葉が生みだされ、「地方のリアルな日常」に対する注目が集まっている。上昇志向も薄く、地元を愛し、仲間とともに生きる彼らは、現在の日本の閉塞的な雰囲気を象徴したかのような存在だ。
『ドライブイン蒲生』に登場する蒲生家の姉弟も、もしかしたら「マイルドヤンキー」のような存在なのかもしれない。ヤンキー崩れの姉弟と、娘に不条理な暴力を振るうヤクザ崩れの父親との葛藤が描かれた本作。姉には『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『グミ・チョコレート・パイン』などに出演する黒川芽以、弟役には、若干21歳にして『ヒミズ』『永遠の0』などに出演し、今や日本映画には欠かせない存在となった染谷将太、そして、父親役には大ベテランの永瀬正敏が友情出演をしている。
なお、原作は、『八月の路上に捨てる』で芥川賞を受賞している伊藤たかみ(『ミカ!』『指輪をはめたい』)の最高傑作との誉れ高い同名小説。音楽は、日本のサイケデリックロックの雄dipのフロントマン、ヤマジカズヒデ。
この作品の舞台となるのは、日本の片田舎にある時代遅れのさびれた食堂『ドライブイン蒲生』。ここを経営する蒲生家の人々が主人公だ。まだ高校 生だった頃、姉は「あれは本当の父親じゃない」と弟に告げながら暴力を振るう父との確執を続けていた。一方、現在では、そんな姉も一児の母となったが、今度は旦那の家庭内暴力に耐え切れず、家を飛び出し、実家に出戻ってきた。過去と現在という2つの時間軸が入り混じりながら、周囲の人々から「あの一家はバカだ」と蔑まれる蒲生家の「汚れた血」が描かれていく。
今作のメガホンをとったのは、たむらまさきという”新人”監督。いったい、どうして新人監督のデビュー作にこんなにも豪華なメンバーが揃ったのか……と思いきや、そこには理由があった。たむらは、キャメラマンとして、小川紳介監督の『三里塚』シリーズ、石井聰互監督の『逆噴射家族』のほか、青山真治監督、黒沢清監督らの作品に参加。40年以上にわたって、日本映画をキャメラに収めてきた超大物なのだ。30年前に公開された永瀬のデビュー作『ションベンライダー』(相米慎二監督)にキャメラマンとして携わっていた縁で、永瀬の友情出演も実現した。
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