米国で起きた“女子高生集団妊娠事件”を映画化! 武田梨奈が『リュウグウノツカイ』で新境地に挑戦
#映画 #インタビュー
──女子高生たちは“妊娠協定”を結んでいたと言われていますけど、そういった10代の女の子たちの心理は、同性として共感できた?
武田 う~ん、きっと最初は好奇心から始まったことなんでしょうね。私自身の高校時代は男子生徒と一緒に外で汗を流したり、空手の稽古で忙しくて、女の子たちのグループと一緒に過ごすみたいな経験がほとんどなかったんです。女の子たちの集団的な心理は、ちょっと難しいですね。でも、そういった経験がなかった分、女子高生らしさを今回の現場でいろいろと体験できて面白かったです。初日は女子高生キャストのみんな、人見知りして大人しかったんですが、数日後にはすっかり打ち解けて、とても自由な感じで演じることができたんです。ひとりだけ男子生徒役の森永悠希くんがいたんですが、みんなで森永くんを“かわいがる”シーンはアドリブでどんどん演じているうちに、ウエダ監督から「それはやりすぎだよ」とNGを出されるまでやってしまいました(笑)。
■アクションはなし。でも女同士の心理バトルが展開!
女の子たちが熱にうなされたかのように集団で暴走していく過程は、相米慎二監督の青春映画『台風クラブ』(85)を連想させる。また、理想のコミュニティーづくりを目指す女子高生たちは廃屋状態だった海の家で出産の準備を始めるが、なかなか妊娠できない女の子が強行派から突き上げをくらうシーンは若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)っぽくもある。性を扱った実録ドラマという点では『先生を流産させる会』(11)にも通じる。インディペンデント系映画の名作&話題作へのオマージュがいろいろと込められている点も『リュウグウノツカイ』の見どころだろう。ちなみにウエダ監督は、若い女性キャストたちには「女子高生たちがジャズで町起こしする『スウィングガールズ』(04)のSEX版だよ」と説明していたそうだ。
──上映時間4時間38分の超大作『ヘヴンズストーリー』(10)でヒロインを演じた寉岡萌希とのダブル主演作。撮影期間(7日間)もスタッフの人数も限られたインディペンデント作品ゆえに、自分の演技にだけ集中していればいいという現場ではなかったようですね。
武田 今回の作品は撮影に入る前の顔合わせや脚本の読み合わせがなかったんです。いきなり女子高生キャストが集まるシーンの撮影から始まったんですが、最初みんな固かったこともあって、年長だった私はウエダ監督から呼ばれて「幸枝はリーダー役なので、現場を盛り上げて」と頼まれたんです。それで「じゃあ、自己紹介からしましょう! まずは私から」と始めたんですが、2番目の人が私の後にすぐ続かなくて、「あれ……」みたいな感じでした(苦笑)。次の日から(寉岡)萌希ちゃんが撮影に加わったので、「2人で盛り上げようね」と約束して、2人でみんなに積極的に話し掛けるようにしたんです。コミュニケーションがうまくいくと、演技も自由に伸び伸びとできるようになりましたね。こういう作品って、すごく現場の雰囲気が大事だなって改めて感じました。
──今回は得意のアクションを披露するシーンはないけど、親友である幸枝(武田梨奈)と真姫(寉岡萌希)の2人が女同士の心理バトルを水面下でバチバチッと繰り広げる展開が印象的です。
武田 幸枝は幼い頃のガキ大将がそのまま大きくなったような、明るいキャラクターなんですね。その点は私にもちょっと似てるなと思いました(笑)。でも、他の同級生たちが次々と妊娠していく中で、リーダーだった幸枝の立場がどんどん変わってしまう。親友である真姫が誰の子を妊娠しているかも、幸枝はずっと気づいていないんです。う~ん、どの時点で真姫のお腹の子の父親が誰なのか気づいたのかはビミョーですね。いちばんの親友に自分が幼いときから憧れていた先輩を奪われてしまう。でも、お互いにそのことに気づかないふりを続けるという……。女の子って怖い! 自分も女性なんですけど、女の子の世界は怖いなぁって思いました(笑)。
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