出生前診断で“ダウン症の子が生まれるから中絶”はアリなのか
2014/07/25 13:00
【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
『ルポ産ませない社会』(河出書房新社)
妊婦の血液を採取し、胎児の染色体や遺伝子を調べる「新型出生前診断」が、いま波紋を広げている。先月6月27日、この1年間で新型出生前診断を受け、胎児の「染色体異常」が確認された妊婦のうち、じつに97%が人工妊娠中絶を選択したと発表されたからだ。
新型出生前診断が注目を集めている理由には、不妊治療の技術向上により、高齢での出産が増加しているという背景がある。妊娠年齢が上がると、ダウン症候群などの障がいがある子が産まれる確率も上がるためだ。『ルポ産ませない社会』(小林美希/河出書房新社)に記載されている海外の研究例では、「25歳で1352人に1人の確率」であるのに対し、「35歳で385人に1人、40歳で113人に1人」と割合が高まっている。そのため、これまでの羊水検査よりも安全だといわれる新型出生前診断を希望する人が増えているようだ。
だが、当然ながら出生前診断には批判もある。それは容易に「命の選別」を行っていいのかという生命倫理の問題だ。社会全体で深く議論されるべき大きなテーマだが、現状は“個人の問題”として、妊婦とその家族が「診断を受けるべきか否か」「産むべきか産まないべきか」という重い選択を突きつけられている。
障がいを抱えた子の命を軽んじていいのか──。じつは80年代にも、こうした議論が起こっている。日本を代表するジャーナリストのひとりである故・斎藤茂男が新聞連載した「生命かがやく日のために」が、その発端だ。
最終更新:2014/07/25 13:00
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