トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > はみだし警部マサラ系! インド映画界きっての暴れん坊が銃を手に大乱舞『ダバング 大胆不敵』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.280

はみだし警部マサラ系! インド映画界きっての暴れん坊が銃を手に大乱舞『ダバング 大胆不敵』

Dabangg02.jpgアクションシーンだけでなく、ミュージカルシーンでも大活躍のサルマーン・カーン。腕っ節ダンス、ベルトダンスを次々と披露♪

 ちなみにサルマーン・カーンは、『恋する輪廻』などヒット作多数のシャー・ルク・カーン、40歳代ながら『きっと、うまくいく』(09)で大学生役をさらりと演じてみせた演技派アーミル・カーンと並んで、ボリウッドを代表する“3大カーン”として有名。『ダバング』の大ヒットで、インド映画界No.1となるマネーメーカーとなったサルマーン・カーンだが、暑苦しいルックスと同様に私生活も超ワイルドだ。若手時代は細身の体型だったが、スタローン主演の『ランボー』(82)に触発されてボディビルを始め、胸板自慢のマッチョ野郎に大変身。“インドいちの美女”アイシュワリヤー・ラーイと一時期交際していたものの、破局後はアイシュワリヤーのロケ先まで付け回すストーカー行為を繰り返した。さらには絶滅危惧種の野生動物を禁猟区でハンティング、自分の運転する車で人身事故を起こすなど、次々と面倒を起こしているトラブルメーカーなのだ。そんな問題児が警部役で銃を片手に踊りまくるなんて、大胆すぎるぞインド映画!

 『ダバング』の底抜けな面白さに、思わず大企業を脱サラして日本での配給権を買い付けてしまったのは、ビオスコープ社を立ち上げた大向敦氏だ。2006年から2009年にかけてインドのニューデリーで暮らしたほか、アジア各国での生活を体験している大向氏に、インドの内情など聞いてみた。

大向「最近のインドはIT大国として、また経済成長で注目されていますが、その一方では昔ながらの文化や習慣が根強く残っている社会でもあるんです。日本では“賄賂”と聞くと抵抗を感じる人が多いでしょうが、インドでは賄賂は当たり前の文化。ビザを申請して何カ月も待たされていたのが、申請の書類にいくらかお金を挟んで渡すと、その場で許可が下りたりするんです(苦笑)。私自身はインドで警察の世話になったことがないので深い部分までは分かりませんが、交通違反者が警察にお金を渡すことで見逃してもらうなんてことは日常茶飯事のようですね。インドでは公務員=クリーンとは全然思われていない。そんなインドでも、サルマーン・カーンが演じた警察官はあまりにも型破りだったようです。家族みんなが楽しむボリウッド作品で、ここまで突き抜けたキャラクターはちょっとなかったんじゃないかな。確かにサルマーン・カーンはインドではゴシップ誌の常連ですが、憎めない問題児として幅広く愛されているんです。日本の俳優で例えるなら、勝新太郎的な存在かもしれません(笑)」

 ちなみに主人公パンデーとは犬猿の仲の弟マッキーを演じているのは、サルマーン・カーンの実弟アルバーズ・カーン。『ダバング』はインドの勝新とインドの若山富三郎が一緒になって暴れ回る痛快娯楽作でもあるのだ。『初春狸御殿』(59)と『続・座頭市物語』(62)をミックスしたかのような過激なマサラ具合が堪らない。

123
ページ上部へ戻る

配給映画