「ゾンビが頭を撃たれたら死ぬ、という設定には納得いかない!」ギャグ、エロ、童貞……異色の“相原ゾンビ”ができるまで
#映画 #インタビュー
――エピソードによって、シリアスな話だったり、ギャグだったり、エロが入ってきたりと、いろいろな要素ありますもんね。
「それでいて、世界観は統一していますから。で、なんとなく、それぞれのエピソードの間を想像してもらえればいいかなと。『中期から後期にかけて、ゾンビ現象は落ち着きだしたんだろうな……』みたいな。ああいうノロノロした動きのものですから、殺せなくてもそのうち、うまいこと対処できるようになっていくと思うんですよね。だから、ゾンビがいるのが日常の風景になっていくだろうと」
■対・ゾンビ用の武器には、なぎなたがベスト!?
――戸田という女子高生がなぎなたを使って戦っていますけど、あれは頭を撃っても殺せないゾンビに対抗するのにはベストな武器ですよね
「そう。頭を破壊されても死なないという、自分が納得できるゾンビを設定したら、銃が役に立たないことに気が付いたんですよね。でも、それが逆によくて、日本には日常の中に銃なんてないじゃないですか。だから、多くの漫画や映画ではムリヤリ警官やヤクザに撃たせたりするわけですけど」
――通常のゾンビ物だと、やはり銃が一番強い武器ということになりますからね。
「銃が役に立たないとなると、普通の人が対処しようと思ったら、足を切って追いかけてこないようにするくらいしかないだろうと。そこで、なぎなたがいいなと思ったんですよね。ただ、すぎむらしんいちさんの『老人賭博』という漫画の最終話で、『主人公の女の子は、やがてこんな映画に出ました』っていう説明のコマで、なぎなたを持ったセーラー服の女の子が描かれているんですよ。『これはかぶってしまった!』と……。しかも、その映画はゾンビと戦う内容らしくて。でも、その1コマのために自分のアイデアが使えなくなっちゃうのもイヤなので、知らんぷりして描いちゃいましたけど」
――なぎなたを使うのが女子高生というのも、譲れなかったと。
「そうですねぇ、やっぱり女子高生がなぎなたを振り回していてほしいなぁ……。まあ、なぎなたって考えると、おばあさんとかのほうがリアルなのかもしれないですけど」
■自分で完成したものを見ても面白かった
――で、今回の映画版ですが、原作がまだ単行本1巻しか出ていない段階での映画化って早いですよね。
「そうですね。実は1巻が出てから、すぐにいくつか映画化の話が来ていたんですよ。まあ、そういう話って結構来るけど、そのままポシャるケースも多いんですけどね。今までの漫画でも映画化の話は来たんですけど、『オッケーです』って言ったのにポシャって、なんの連絡もなし……みたいなパターンばっかでしたから。でも、今回は鶴田監督から非常に熱心に口説いていただいたんで、お任せしようかなと」
――相原先生の漫画が初・実写映画化というのは意外でした。実写化するのに抵抗があったわけではないんですか?
「昔は、ちょっとありましたね。『コージ苑』を実写化したいという話が何回か来ていたんですが、やっぱり実写でギャグって難しいじゃないですか。最近は考えも変わって、もともと映画も大好きですし、映画化してくれたらうれしいなと思うようになりましたけど」
――先ほど、漫画も当初は「いろいろなエピソードをつなげて長編にしようと思っていた」とおっしゃってましたけど、映画版はまさにそういったストーリー構成になっていますよね。映画の内容に関しては、意見を出したりしたんですか?
「最初に多少意見は言わせていただきましたけど、基本的にはお任せですね。だから、自分で完成したものを見ても面白かったですよ。『こんなふうになるんだ~』って。ゾンビもすごくリアルに描かれていますし、漫画では住宅街で火炎放射器を使ってゾンビを処理してたシーンが、映画では網で捕まえるようになっていたりして……。確かに、住宅街で火炎放射器は危ないですからね。捕まえてからどこかに連れていって、そこで処理するほうが現実的だな……なんて感心しました。生活感のある風景の中にゾンビがいるっていうのが、すごくリアルに描かれていてよかったですね」
――基本的にはホラー映画なんでしょうけど、その中に相原先生ならではのギャグやエロ・バカ童貞みたいな要素が、うまいこと詰め込まれていますよね。
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